92−3.2003年8月5日.「ヒロシマ平和へのつどい2003」(31)〜(34)

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柴田もゆるさんから緊急提起!「つくる会」教科書の採択を許さない行動を、7日、ヒロシマ県民集会

 

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   閉会挨拶は湯浅一郎代表
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市民による平和宣言2003

 有事関連法と武装自衛隊のイラク派兵法が成立したと言う戦後初の情勢の中で、58回目のヒロシマ・デーを迎えたことに強い憤りと危惧を覚えます。
 一昨年、アメリカ東部で起きた「9.11事件」の後、ブッシュ政権が、「テロを叩く」ことを錦のみ旗として、アフガン「報復」戦争を始めてから、暴力の連鎖が止まりません。ブッシュ政権は、「悪の枢軸」呼ばわりした3国を含む7つの国に対する核兵器使用計画の策定すら臭わせ、軍事による一国主義の貫徹をめざしてきました。そして2003年3月、大量破壊兵器保有の「疑い」を理由に、「自衛」の名においてイラクへの一方的な先制攻撃をしかけ、劣化ウラン弾やクラスター爆弾など非人道的な準大量破壊兵器を使用し、破壊の限りをつくしました。これを戦争犯罪と言わずして何というのでしょうか。
この国は、58年前の8月6日、広島に原爆を投下し、何万人もの人々を無差別に虐殺し、生き残った人々にも原爆症やガン、白血病などの晩発性障害を残しましたが、今もその体質は保持されたままです。その苦しみと恐怖を知るヒロシマは、国際社会が原爆投下を犯罪であると明確に位置づけ、世界で唯一、原爆投下を実行し、今またイラクへの先制攻撃をしたアメリカ政府の罪を明らかにするようくり返し求めます。
 しかし、「イラクの解放」をめざしたにも拘らず、戦闘終結宣言が出た後も武力衝突が続き、米英兵の死者が毎日のように出ています。その上、大量破壊兵器は見つからず、「悪の枢軸」呼ばわりした根拠の一つである「ウラン購入」情報が虚偽であったことまで判明し、イラク戦争は何一つ大義のない侵略戦争であったことがいよいよ明らかです。
 更にイラン、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)などの「核拡散」に矛先をあてつつ、強硬な外交政策を採り、これに対抗せざるを得なくなった北朝鮮は、核兵器の保有発言をするという危険な外交が続いています。拉致や工作船は絶対に許せない行為ですが、その上で、あくまでも力の対決でなく、2000年6月の「南北共同宣言」、2002年9月の「日朝ピョンヤン宣言」を基本に、東北アジアの非核化や相互不可侵条約を作ることをめざすべきです。
 ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下が国際法違反として明確な審判を受ける日まで、アメリカは『戦争中毒』のままなのでしょうか。自らの保有核兵器に対しては全く廃棄への努力を怠り、むしろ小型核兵器の開発、核実験の再開などを進めようとしています。

 他方、日本は、戦時下の派兵を可能とする「テロ特措法」により海上自衛隊の補給部隊の派兵を今も続けています。それも、世界に二つしかない被爆県にある呉、佐世保から戦時下の海外派兵が行われていることは、核兵器廃絶と恒久平和を求める立場から絶対に許せません。7月15日には、呉から補給艦「とわだ」が3回目の派兵に出動したばかりです。
 その上、有事法制やイラク「復興支援」特措法を作り、先制攻撃論の「ブッシュ・ドクトリン」に加担する道を選択し、11月にもイラク復興支援の名の下に、自衛隊のイラク派兵が行われようとしています。これらの法は、政府が憲法九条を捨てようとしていることを宣言し、自衛官から戦死者が出ることを前提としています。「あなたは、子どもたちに「戦争ができる国」を残したいのですか?」との問いが爆心地の地中深くから、無数のうめき声となって、聞こえてくるようです。

 この状況を変えるために、2000年のNPT再検討会議の到達点を振り返り、その履行を求めていくことをヒロシマから訴えます。この時、核保有を正当化されているアメリカなど五つの『核保有国』が、「保有核兵器の完全廃棄に関する明確な約束」をしたことは、核兵器廃絶に向けた20世紀の最高の到達点です。これにこだわることを、被爆地から世界の人々に向けて改めて呼びかけます。核廃絶は、地球上の全ての生命体の共通の意志です。そのメッセージを世界に広げていくことは、ヒロシマの責務です。
 アメリカの核政策はアメリカ市民が当事者ですが、そのアメリカ市民に広島・長崎を初めとした日本の市民と自治体が連携して核兵器廃絶と恒久平和を訴え続けることは大きな影響力を持ちえるはずです。国際的な視野を持って、市民が相互につながる必要があります。市民の力でブッシュに象徴される力の政治を根底から変えていきましょう。

                              2003年8月6日 
8・6ヒロシマ平和へのつどい2003 参加者一同
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