240−2.2006年12月8日.不戦の誓いヒロシマ集会(浅井基文講演会)(11)〜(20)

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 「過去を水に流す」という悪癖。一方で、「古い国家」への嫌悪が「国家」そのものを否定する意識になってしまったこと。日本国憲法は「個人を国家の上におく」国家観ですが、それが共有されなかったのです。
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  また、日本=大国という事実認識がなかったこと。大国であるという客観的事実と大国主義といったイデオロギーがごちゃ混ぜにされて否定されてしまったのです。
かくて、自民党が国家を個人の上におく国家観による新憲法草案を出してもあまり注目されないわけです。                                
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 また、広島の問題としては、元市長の平岡敬さん、詩人の故栗原貞子さんの問題提起したことがいまだに生きていないということを指摘されました。

核の傘に頼りながら、核兵器廃絶を言う矛盾。究極的廃絶、などというあいまいな態度。そして、全国的にも異常なまでに自民党が圧倒的支持を得るという状況。   
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 アジア太平洋戦争での加害国としての意識の欠落。そしてアメリカの原爆投下責任も実はあまり正面からは取り上げられなかった。共産党でさえも戦後すぐはアメリカ軍を解放軍とみなした。
これらも複合して結局、「ノーモアヒロシマ」と「ノーモアウォー」が結びつかない。本来、12月8日と8月6日はセットで語られるべきだとされました。

また、原水爆禁止運動と憲法が結びつかない。下手をすれば被爆者の中でも戦争を賛美する靖国神社にすがる動きも根強くあった。  
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  じっと聞き入られる被団協の坪井直さん
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 また、被爆者自身が、被爆体験を普遍化する努力を怠ってきたという栗原貞子さんの分析も紹介されました。
被爆体験を語ろうとしない多くの被爆者。また、逆に被爆そのものが「水戸黄門の印籠」になってしまう状況。そして「唯一の被爆国」というナショナリズム。これらが普遍化を妨げてきた。

そして、護憲論、広島の運動の足腰が強くなるためには、このような課題を克服する努力が必要という辛口の提起をされました。
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 集会宣言の読み上げです
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 下に掲載
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 閉会宣言です
 (20)  

           

12・8不戦の誓いとロシマ集会アピール

 1941年12月8日、すでにアジア諸国への侵略戦争を続けていた日本は、ハワイの真珠湾を奇襲し世界を巻き込んだ太平洋戦争に突入した。
 この一連の侵略戦争は、中国をはじめアジアの国々で数千万人、日本人300万人あまりの未曾有の犠牲者を出し、広島・長崎への原爆投下をもたらし日本の無条件降伏をもって終了した。

 私たち広島は、戦争の歴史・教訓に学び、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬ
から」と心に刻み、核と戦争、そして戦争につながる一切を拒絶することを「ヒロシマの心」として共有し、世界に訴えてきた。「12月8日」は「8月6日」と並んで、ヒロシマが、日本が忘れてはならないものとなった。
 しかし、敗戦、被爆から61年が経過した今日、多大な犠牲をもって得られた教訓は忘れ去られ、日本の針路は大きく転換しようとしている。

 安倍政権は「5年後には新憲法を制定する」と明言しながら国民投票法案の制定に動く一方、今国会では教育基本法の改悪を野党不在のままで衆議院を強行通過させ、成立一歩手前の状況まで来ている。また、防衛庁の省昇格法案は、自民・公明両党と民主党も賛成する中で衆議院を通過し、恒久的な自衛隊の海外派兵へ道を開こうとしている。そして、在日米軍再編により日米軍事一体化を進めている。
 加えて、朝鮮民主主義人民共和国の核実験強行をうけ、麻生外相・中川政調会長が繰り返し核武装発言を行う一方、久間防衛庁長官が非核三原則を逸脱する発言を行うなど、まさにヒロシマの心が踏みにじられ続けている。

 わずか数年の間に、有事法制、イラクへの自衛隊派兵、盗聴法など、戦前を思わせる悪法が成立してきた。その仕上げとしての教育基本法改悪、新憲法の制定へと続くこうした動きは、日本の平和と民主主義を破壊し戦争へとつながる危険な動きであり、私たちは黙って見過ごすことは出来ない。

「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」した憲法前文、そして、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とした憲法第9条を改めて高く掲げ、12.8 不戦の日の誓いとする。

2006年12月8日   12.8不戦の誓いヒロシマ集会