レベッカ・ジョンソン講演概要
A)核兵器廃絶をもたらすために、市民社会はなにをなすべきか
核兵器のない世界を作るという目的を達したと想像してみるならば、今や私たちは、山の頂上から遠く離れたところにいるわけではなく、実は頂上まであとわずかな段階まで来ている。
目的達成までにあとわずかだという理由:
1)核兵器はその地位と価値を失いつつある。
2)核抑止力支持者が、核軍縮と核不拡散を唱えてきたグループに加わりつつある。
3)国際社会には核兵器の完全禁止と不拡散を管理検証する能力があるということを、政府や軍人たちに受け入れさせる機運ができつつある。
B)核実験、地雷、クラスター爆弾禁止をもたらした運動に習え
退役軍人、人道的活動組織ならびに医療組織が、兵器廃絶支持者、地雷除去専門家、開発専門家たちと協力して地雷禁止国際キヤンペーン(ICBL)を組織し、地雷禁止の必要性を訴え、主要各国政府と協力体制を組み、地雷を製造・輸出し使用している国にその大きな過ちを認識させ、地雷禁止条約について交渉させた。最近、この地雷禁止に習って、NGOがクラスター爆弾の禁止条約をダブリンで締結させることに成功した。
C) なぜこれらのキャンペーンば成功したのか。NGOは核兵器廃絶キャンペーンのために、これらから何を学び何を応用できるか。
3つの重要点:
1)あらゆる関連グループと個人が支持し皆が連帯できるような明瞭簡潔で実現可能な目標を持つこと。
2)目的認識で一致しても、目的にいかに達するかについては意見が異なる可能性があることを認めること。
3)自分の強みを知り、論点を前進させるために、正しい目標、方法、手段を選択すること。
D) 核兵器廃絶への道標と道路工事
なんらかの「核兵器条約」で核兵器廃絶を法律化するという一致した目標を確認したならば、これを押し進めるための中間目標はどこにおいたらよいか。
コスタリカとマレーシアが「核兵器条約」を本題にしようという努力で指導的な立場にある。ハンス・ブリックスが議長を務める大量破壊兵器委員会は、60の行動提案を行った。ノルウェーが、「核兵器のない世界達成への展望に関するオスロ会議」で、「5つの方針と10の政策提案」を出しており、同じ提案が軍縮会議やNPT会議でも出された。
フランスのサルコジ大統領は8つの行動計画を提案。これらの中には似たような点もあるし、多くの違いもある。
1)2010年NPT再検討会議に向けて、各国政府とNGOが提案する「これからやるべき項目」に、どのような違いがあるのか、どのように相互補完するものがあるのか。
2)CTBTはいまだ比較的重要性を有している。
3)「核物質禁止」には意味がある。しかし、人々の認識を高める上で、「核兵器条約」のように活気づける問題ではない。
4)核兵器保有国の一つに核兵器廃絶をさせることができたら、核兵器の鎖をもとにもどせないほど断ち切ってしまうことができる。その可能性のある国は、英国。それを実現するためには、トライデントを更新させないような強い国際的圧力を英国に与えなければならない。と同時に、スコットランドの人々とスコットランド政府を支援する必要がある。
考えられる国際的支援の方法: 、
*スコットランド政府とイギリス政府へ手紙や陳情書を送り、トライデント、またはいかなる核兵器の配備と入れ替えも停止するよう求めること。
*日本政府やNPT加盟国に手紙や陳情書を送り、非核地帯になることを望んでいるスコットランドを支援し、スコットランド政府がNPT会議にオブザーバ}として出席できるよう支援することを要請する。
*フアスレーン365日行動に、ピースボートに乗っていた学生たちや他の日本人学生、広島、長崎からの被爆者たちが参加したように、抗議行動に参加すること。
*日本の英国大使に手紙や陳情書を送り、トライデント更新に反対するデモを英国大使館前で行うこと。
5)平和市長会議の「核兵器廃絶のための2020ビジョン」を支援すること。
以上が、私が考えていることの幾つかですが、皆さんも、もっといろいろなアイデアと提案をお持ちだと思いますので、お聞きしたい。