436.2012年4月14日、伴英幸さん講演会「原子力政策〜国は今どう動こうとしているか〜」(1)〜(10)
   
 (1)午後2時    
 

広島平和記念資料館東館会議室で。司会は「原発はごめんだヒロシマ市民の会」の木原省治さん。

2012年4月15日付け毎日新聞ホームページに出ています。

(2)

 
伴英幸さん(原子力資料情報室 共同代表)が1時間30分にわたり講演 
 (3)スライドを使いながら説明(下にこの日配布されたレジメを掲載)    
 
 (4)エネルギー政策関連の政府内のおける主な検討の場(参考資料3)    
 

(5)

 
 

エネルギー政策見直しの要点

複数の選択肢を提示

 5月中旬を目途に

国民的議論の展開 

 どのように行うのか?案示されず

各委員会で案作成

 国民議論をどのように反映するか…

 (6)  
経済産業省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会での議論を紹介。原発ゼロの立場で議論に参加している。他に5%までにする立場。原発に頼る度合いを下げるが、ある程度は使う立場(20%)、今後も主なエネルギーとして使う立場(25%)(35%) 
 (7)    
 会議室をほぼ埋め尽くした参加者(2〜300人ぐらいかな?)。皆さん熱心に聴いておられました。
 (8)まとめと対応策案  
 

原発ゼロオプションは選択肢に入る

国民的議論はどのように行われるか???

世論は原発ゼロを選択するだろうが…

サイクル政策の変更はありうるが

六ヶ所再処理工場を廃止に持ち込めるか…

事業破たんを結果に導くには???

 対応策案

福島事故後の安全性強化、防災対策強化などの規制強化

   電力の全面自由化や発送電の分離など制度改革も

1000万人署名の達成⇒内閣・国会への働きかけに活用

国会議員内で脱原発擁護の動きが活発化

停止中原発の運転再開阻止、プルサーマル合意撤回、新増設阻止などの運動を強化する

 (9)    
 質問者にマイクを手渡す木原省治さん。5人ぐらいが熱心に質問されました。

(10)一人一人に丁寧に答えられる伴英幸さん 

 
 
   
              
   
 原子力政策、国は今どう動こうとしているか

                    広島平和記念資料館東館
                               2012.4.14
             原子力資料情報室 共同代表 伴英幸

1.政策決定への流れ

  @ エネルギー・環境会議からエネルギーミックスの選択肢の提示⇒経産省総合エネ調基本問題委員会

  A 核燃料サイクルの選択肢の提示⇒原子力委員会原子力発電・核燃料サイクル等技術検討小委員会

  B 国民的議論の展開⇒どのような展開になるのか明らかでない

  C エネ・環会義による選択肢の絞り込み⇒新エネルギー基本計画、新原子力政策大綱

2.基本問題委員会での議論

  @ エネ・環会議の基本方針に沿って動いているとは言い難く、原子力への依存を続けようとする声が大きい

  A 事務局がマクロ経済分析を計画・主張

   T.原子力依存度0%、20%、25%、35%でマクロ経済分析を進めるという。2030年時点の発電電力量は1兆キロワット時を想定
   U. 20%以上は、原発の40年を超えての運転延長あるいは建設中・増設計画原発の運転開始を求めるものである。
   V. 35%の経過
     山地憲治(地球環境産業技術機構理事、研究所長)一人が35%を提案し、それが採用された。彼は2案を提出し、これらの案が新大綱策定会議の意見分類T.原発規模を福島原発事故前の水準程度に利用して行く、並びにU:原発規模を低減させ、一定の水準で利用して行く、に対応して提案したと言っている。政策大綱事務局は基本問題委員会の議論を受けて分類は修正するとしてきたが、両者は緊密な打ち合わせで動いていたのではないか。

  B 委員25人中8人の連名でこれに反対する意見書提出:内容

  T. 経済モデル中心の「定量的なエネルギーミックス」を選択肢と同一視しない

  U.エネルギー需給の観点から見た新たな社会像、それを実現する政策の基本方針を軸とした「定性的・戦略的なエネルギー政策」こそが選択肢であり、今後の議論の中心に据える

  C 三村委員長強行;

  T.分析と政策はパッケージ、計算中に政策の話をする

  U.しかし、計算結果をもとに政策パッケージを議論することになり、本末転倒

  D 問題点

  T.省エネルギーを10年度比10%しか見込んでいない

  U.「再生可能エネルギーの最大限の加速」というが再エネ拡大への積極性が感じられない(また、分散型への配慮が少ない)

  V.電力自由化(一般消費者含めた全面的自由化)の議論があやふや 発送電分離は電力システム改革専門委貞会で審議中

  E 今後の1か月程度が議論の山場となる

3.核燃料サイクルを巡る議論

    まるで事故などなかったかのようは発言が平気で行われているのが審議会の中。

  @ 2030年を断面として議論を進めている


  A 技術成立性を議論:5つの技術選択肢

  T.@ワンススルー、AMOX限定リサイクル、BMOX多重リサイクル、C高速炉、D増殖炉

  U.まとめ:「今後20〜30年を見通した場合、MOXリサイクルとワンススルーのみが実用化しうる技術選択肢である。両者の相違点は、資源効率、経済性・核拡散・セキュリティリスクである。」(ワンススルーが有利となるのは、経済性と核拡散・核セキュリティ)

  B 政策選択肢‥3つが原案⇒定量評価を実施

  T.全量再処理、再処理・直接処分併存、直接処分

  U.この他に、モラトリアム(馬淵澄夫議員バックエンド勉強会提言)、当面貯蔵路線を提案がある

  C 8つの評価軸;

  T.エネルギー安全保障/経済性・産業への波及効果/立地困難性/選択肢の確保(柔軟性)/核不拡散・核セキュリティ/廃棄物・使用済み燃料管理/国際関係/政策変更に伴う課題

4.まとめと感想:イ)原発ゼロオプションは選択肢に入るだろうが、相当頑張らないと残らない。ロ)核燃料サイクルは併存に向かうが六ヶ所再処理が焦点(青森県知事がボトルネック)

5.対応:国民的議論へ影響を与える取り組み、1000万人署名の活用。