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通訳は土井桂子さん 
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急な話でしたが、手前の湯浅一郎さんの肝いりで集会を企画された訳が判りました。

 

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 もうちょっと準備期間があれば良かったのですが。もっと多くの人に聞いて貰いたい話、討論でした。
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 会場からの熱心な質問に熱が入りました。
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 この日はテレビカメラが来ていませんでしたので、会場の参加者は一部の了解取れる人意外は撮影していません
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 伊達純さん、藤井純子さんからも質問
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左党@県職労三次支部です。 昨日ありましたアジア平和連合のコラソンさん講演会の報告です。

9条の会HP、それから広島瀬戸内新聞に掲載予定です。

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はじめに(略)

6月18日(水)、広島市中区のYMCAで同じアジアのフィリピンで基地問題や原発問題などに取り組んでこられた弁護士のコラソン・ファブロスさんをお呼びして、講演会が第九条の会も加入するピースリンク広島・呉・岩国の呼びかけで行われ、メンバーや市民らが参加しました。

まず、ピースリンク世話人の久保田十一郎さんがコラソンさんを紹介。アジア平和連合(APA)はアジアの平和を築くために民衆レベルでの連帯を強めるべく。2002年8月に16カ国の市民運動家がマニラに集い発足しましたが、コラソンさんは地元フィリピンの運営委員を勤めておられること、スービック海軍基地の撤去運動に尽力されたことなどが紹介されました。

アジアの一員としてどうあるべきか−−湯浅世話人挨拶
続いて、マニラでのAPA発足総会に広島からただ一人出席した湯浅一郎さんが挨拶。

9・11以降、自分もアメリカの一国主義に抵抗すべく運動を毎日続けざるを得ない状況が続いている。今はご存知の通り、テロ特措法の二年間延長、イラク新法を阻止していかねばならない。

また、アジアの視点から見たら、日本は何をすべきかなどを考えている、と前置きし、今日、コラソンさんを呉周辺の米軍基地、自衛隊基地を案内したことを紹介しました。

そして、アジアの平和運動とつながらねばならないとの想いからAPAに参加している、昨年、被爆者の声をアメリカに届けるべく訪米したが、ヒロシマやナガサキというだけで、反応が違う、ブッシュの横暴が目立ついまこそ、ヒロシマ・ナガサキの出番ではないか、とくに、1945年8月6日になにがあったか、アジアの民衆と共有していくことが大事ではないか、としました。

そして、今後、ピースリンクとしても従来の地域に根ざした運動を大事にするとともに、それを行動していくためにも、アジアに日本が兵を出していることを意識し、アジアの一員としての日本が本当にどうあるべきかを考えていきたい、と決意を述べました。

コラソンさんのおはなし

基地は撤去させたが−ー
そして、いよいよメーンゲストのコラソンさんのお話が始まりました。

クラーク基地、スービック基地は、約100年の歴史があったそうです。それを「1992年にようやく撤退させました。それはフィリピン人の強い反対と結束力の結果です。」と振り返ります。

「ところが、1998年、米比両国は米軍がフィリピンに寄港する協定を結んでしまいました。
これにより、米軍がフィリピンに滞在する法的根拠ができてしまったのです。」
と残念がりました。

そして、2001年の9.11テロ後、フィリピンは「アメリカの世界戦略の一環に組み込まれてしまった」
のです。

アメリカは、「ミンダナオ島のゲリラをアルカイダと関係があると決め付け、フィリピン政府への「安全保障支援計画」をまとめた」のです。

その内容は、アメリカはフィリピンに基地は置かないのですが、しかし、実質的に基地があるのとおなじことにしてしまうのです。

夜間飛行や、情報交換などあらゆる面で米比両軍は協力。ルソン島だけでなく、南部でも合同軍事演習が行われました。

フィリピン版「新ガイドライン」「有事法制」そして、米比両国は2002年、「米比相互兵站支援協定」を締結。これは、米軍がフィリピン軍を支援するだけでなく、フィリピン軍が例えばアフガンやイラクへ
出兵することにも道を開くものだそうです。

水、兵糧、医療、交通、仮設構造物など戦争に必要なあらゆる項目がカバーされています。

また、軍事基地はフィリピンにはありませんが、22の港や空港がいつでも米軍のおもうがままに使えるようになっています。

まさに、「日米新ガイドライン」「有事法制」「イラク新法」「テロ特措法」がフィリピンでも起こっていることがよくわかりました。そして、「基地をおくよりもお手軽な方法」で拠点を確保しているのです。

コラソンさんは「米軍にとっては非常に有利な協定だ」といいます。ある意味、日本の場合は思いやり予算があるから、置いているだけなのでしょうか。良くも悪くも米軍は非常に合理的なこともわかりました。

そして、今、ミンダナオ島でも、「戦争」が起きています。コラソンさんがスライドで見せてくださった資料でも「BATTLE」とか、反乱とかそういう言葉ではなく「WAR」という言葉を使っていたのが印象的でした。

「テロリスト撲滅のためにフィリピンではじゅうたん爆撃が行われ、結果として30万人が疎開を余儀なくされている」といいます。

日本と酷似する国内状況
また、フィリピン政府は国内的には「対テロ法」案を提出。盗聴や怪しいと政府が判断した人の銀行口座を調査したり、テロと関係があるとされた人の資産を凍結することなども盛り込み、法律違反者の最高刑は死刑です。

「誰がテロリストにされるかわからない。
反対意見をもつだけでテロリストにされてしまいかねない。また、国民全員がIDカードを持たねばならなくなる。国民がコンピュータで中央管理されてしまう」とコラソンさんは危機感をあらわにします。
まさに、これは日本における住基ネットであり「国民保護法制」ではないでしょうか。
あまりにも状況が酷似しているのでわたしも言葉を失ってしまいました。

コラソンさんも「マルコス政権下の状況を思い出す」といいます。

コラソンさんは「フィリピン政府もアメリカに従属的です。フィリピンの国内運動だけでは、軍事化の流れに対抗できません。アジアの色々な国の運動と連帯していく必要があります。
APAの活動家たちが、アメリカの軍事的影響の大きい地域の人たちが連帯していくことがいまこそ必要ではないでしょうか」と結びました。

質疑応答

続いて質疑応答が行われました。

アメリカの狙いは何かという質問に対してコラソンさんは「テロリストと言われるグループを倒すだけではない。その先の目的がある。石油、それから大会社の利権がある」といいます。

なるほど、軍事化と結びついた新自由主義(大会社優先主義)がフィリピンでも見られるのです。

また、現状の日本のODAはどうか、との質問に対しては「基本的には輸出産業のためのエネルギー、都市建設、流通産業などに多くが当てられる。
最近はようやく教育や医療にも使われだした。しかし日比両政府とも少しでも日本への批判を和らげるためにやっている」といいました。

続いてわたくしさとうが、「日本の小泉総理はアメリカと一緒になって他国を侵略することを可能にする法律をつくった。フィリピンの人々はどう思っているか」と聞き、関連して田中利幸・市立大平和研究所教授が「フィリピンの状況は日本とよく似ているが」と問いました。

コラソンさんは「フィリピン人といってもいろいろいます。アメリカに賛成するような人々は、小泉はよくやっているといいます。
一方でアメリカに批判的な人々は、小泉がアメリカの要求を飲み込んでしまうのはわかっていると。
小泉はブッシュ2世で、フィリピン大統領はそれより小さい二世だといわれている」といいました。
また、基地撤退後の運動はどうなっているかとの質問に対しては、「多くの人が、米軍が居るのは一時的だと考えている。あるいは、アブサヤフの脅威から逃れるために必要なものだと考えている、また、入港できることが軍事基地と同じと言うことが浸透していない」といいます。
また、政府がさまざまな運動をテロリストと一緒にしてしまうことも色々な人を運動から遠ざける原因だといいます。
1989年から1992年にかけては、基地撤退への統一戦線ができたが、いまはそれができていない、といいます。
また、フィリピンの反政府勢力について多くの人は、武装闘争は支持していない、といいます。
最後にコラソンさんは、会議を開いたり、メディアに情報を提供する、教育活動を行う、とくに批判的精神をもつ人を育てるなど、粘り強く暴力的ではなく非暴力的な方法で運動を広げていきたいと決意を述べられました。

感想
今回の講演会で、日比両国の状況があまりに酷似しているので改めて驚愕いたしました。イラクや朝鮮半島問題などに気をとられがちですが、いやいや何のその、まさにアジアのあちこちで対テロ戦争と称した軍事行動をアメリカは展開し、そして、各国政府がそれに協力させられているのです。
これは、NATOが拡大した東欧でもおなじ構図が見られると推測されます。アジアではNATOの代わりに日米安保があり、米比二国間協定があり、ということなのです。

(以下略)

85−2.2003年6月18日.アジア平和連合、コラソン・ファブロスさんを囲んで(8)〜(14)