166.2004年10月27日. 事故ヘリの飛行再開と同型機の岩国への帰還の中止、広島防衛施設局への申し入れ(1)〜(7)

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翌日(10月28日)事故ヘリ同型機3機の岩国への帰還という事態の中での緊急申し入れでした。(広島防衛施設局は1日にしてくれと言ってたのはそのためか?)

最初に田村順玄さん(岩国市議)=右端=より申し入れの主旨と報告書の問題点を指摘

10月28日付け毎日新聞ホームページに出ています

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ピースリンク代表世話人、湯浅一郎さんより更に疑問点の指摘

事故と同型機は飛行を再開し、15日には岩国市、山口県が、岩国に帰還することに同意したと言うことになっている。しかし、この契機となった事故調査報告書は、全く不十分のもので、これによっては、事故原因は何も明らかになっていません。

それなのに明日(28日)岩国に帰還するとはどういうことか?

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この日は6人で申し入れをしました。

 

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   要請書と公開質問状を手渡しました。(下に掲載)
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主に対応した国政氏は、問われたことは全て上司に伝えるという対応をしましたた。そもそも、広島防衛では答えられないものばかりですから。       

問題にしたものは下記のとおりです。

・10月15日、米軍とともども岩国市などに説明に行ったとき、防衛施設庁はどういう立場で発言したのか?明らかにして欲しい。

・日米合同委員会第二分科会の議事録を公表して欲しい。

・10月20日の読売(山口版)によると、「外務省の日米地位協定室は「報告書だけでなく、日本側の航空専門家による検証や、分科会での米側の説明などから総合的に評価し、飛行再開の判断をした」と説明している。この記事の審議を明らかにして欲しい。

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   防衛施設庁では、どこも文書での回答はしていないとの回答があり、それは不当であると言うことでのやりとりも行いました。
 (7)  
 

            

以下、提出した要請書と公開質問状です。

内閣総理大臣 小泉純一郎様      2004年10月27日
外務大臣       町村信孝様
防衛施設庁長官 山中昭栄様
広島防衛施設局長 坂本 憲一様
         
                           要 請 書

  事故機CH53D型ヘリの飛行再開に抗議し、
   同型機の岩国帰還の中止を求める
    厚木基地の岩国への移駐計画に絶対反対を!
             岩国でのNLPを許さないこと
大黒神島へのNLP用滑走路の新設計画の再浮上をやめ、
上記の新たな文脈の中で、岩国基地沖合移設事業の中止を!


 2004年8月13日に沖縄国際大学に墜落したCH53D型ヘリ(シースターリオン)の同型機が、10月13日、普天間飛行場外で飛行を再開しましたたが、墜落事故の恐怖がさめない中での飛行再開は、市民や県民を愚弄する行為であり、激しい怒りを覚えざるを得ません。

 日米合同委員会による事故調査報告書は、8日に公開されたばかりで、自治体や住民が問題の所在を分析し、納得できる状態になったとは言えず、事故は決して再発しないという保証は何もありません。むしろ、米軍のこのような拙速な姿勢は、米軍が何一つ反省しておらず、運用を最優先する姿勢を示すもので、絶対に容認できません。

  更に、日本政府は、アメリカの意向を受けて、岩国市、山口県に対して、近日中にも同型機5機を岩国に帰還させたいとの意向を文字通り押しつけ、自治体も、とまどいながらも受け入れる意向を示したことは、国、自治体が、住民の安全よりも、米軍の運用を最優先させたものとして、強く抗議します。報道によると、明日、28日にも、まず3機が岩国に帰還すると言われていますが、日本政府は、住民の安全と健やかや生活を第一に考え、拙速な飛行再開に強く抗議し、飛行を中止させ、岩国への帰還の中止を求めて下さい。

  これを可能にした契機は、事故報告書の公開です。貴職は、A4 1枚の概要で、「事故原因は整備不良によるものであった」と断言し、それをもって同型機の飛行再開を容認したわけです。しかし、報告書は、たった一人の調査員による聞き取り調査集にすぎず、技術者を含めた調査委員会による技術的検討は何も含まれていません。

 また関係者の証言は必ずしも一致しておらず、「整備不良」の一言で断定できる報告書にはなっていないように見えます。この点については、別紙、公開質問状への回答を通じて明らかにして下さい。いずれにしろ、沖縄で事故を起こしたヘリ部隊が岩国基地に帰還して、広島県、山口県で事故を起こさないという保証は何もありません。

むしろ、同質の事故は、ある確率の下で再発すると考えるのが妥当です。
 折しも対テロ戦争に的確に対処するためと称して、戦後最大規模と言われる米軍の世界再編が検討され、いわばアフガン攻撃、イラク戦争のような戦争を米軍が遂行するために、在日米軍や自衛隊を位置ずけ直すというもので、決して容認できるものではありません。

 その一環として、厚木の空母艦載機部隊を岩国に移駐させる案が取りざたされています。更には、大黒神島のNLP用滑走路の建設も再浮上する可能性があります。その頃、横須賀の空母は原子力動力になっている公算も強く、原子力空母が瀬戸内海を徘徊すると言うことにもなりかねません。貴職として厚木基地の岩国移駐案には絶対反対されるよう求めます。

 また、このような計画が浮上する背景としての沖合移設事業を中止することを求めます。私たちは、米軍の世界再編の一環として在日米軍が再編強化されるという新たな文脈の中で、岩国・秋月などの米軍、呉・海田の自衛隊といったヒロシマの基地群の位置や役割が新たな意味を持とうとしていることに、強い危惧を覚えています。ヒロシマの基地群が、アメリカの世界規模の戦争政策により機動的に展開し、実動するのを止めていかねばならないと決意を新たにしているところです。

 そうしたおりに、事故を起こしたヘリ部隊が、沖縄で飛行を再開し、岩国への帰還を容認することは絶対にできません。米軍による同型ヘリの飛行再開に抗議し、飛行の中止を求めると共に、岩国への帰還を中止するよう強く求めます。そこで、以下要請します。

1.普天間のヘリ事故の調査報告書は、技術調査もない、ただの聞き取り調査による類推にすぎず、原因究明には至ってない公算が強いもの で、その限りにおいて飛行再開の容認を撤回すること。

2.同型機が同様の事故を起こさない保証はなく、岩国基地への帰還を認めないこと。

3.空母艦載機部隊=厚木基地を岩国に移駐する計画に反対すること。

4.滑走路沖合移設という名の基地拡張工事を中止すること。岩国ではNLPをさせないことを確約すること。

入れるな核艦船!飛ばすな核攻撃機!
ピースリンク広島・呉・岩国(28団体)      


内閣総理大臣 小泉純一郎様     2004年10月27日
外務大臣       町村信孝様
防衛施設庁長官  山中昭栄様

 沖縄での米軍ヘリ墜落事故調査報告書に関する公開質問状


  日頃より、市民の健康と安全のため尽力されていることに敬意を表し、かつ深く感謝いたします。さて、岩国に配備されていた米軍ヘリが、沖縄国際大学構内に墜落した事故に関連して10月5日に、日米合同委員会第二分科会に調査報告書が提出され、それを受けて8日には関係自治体や報道機関に公開されました。しかるに、報告書を吟味するいとまもない13日には同型ヘリの飛行が再開されました。

 貴職は、アメリカ政府に対して、報告書の提出をもって飛行再開を容認したわけです。そして15日になると、貴職は米軍とともに岩国市、山口県を訪れ、同型機の岩国への帰還に同意して欲しい旨せまり、自治体の合意を取り付けてしまいました。私たちには、全く納得がいきません。

 そこで、報告書に関連して、主にリムピース編集部が分析した内容に依存しつつ、ピースリンクとして作成した公開質問状を提出させていただきます。本報告書をどのように読み、捉えるかは極めて重大です。同型機を岩国へ帰還させる前までに文書にて回答していただけますよう心より要請するものです。郵送先は末尾の連絡先にお願いいたします。

1) まず第一に、CH53Dの飛行再開と特に岩国への帰還を受け入れてもいいとの判断は、本報告書を吟味した上で出されたものであることを前提として質問させていただきますが、それでよろしいでしょうか。

2)この報告は、最終報告書なのでしょうか、つまり司令官の承認を受けた公式のものなのですか? どのようなステイタスのものなのかという点を明らかにしてください。私たちが見た範囲では、正式の承認された報告書としては体裁が全く整っていないように見受けますが、貴職としてのご判断はいかがでしょうか。

3)調査がWinfield Scott Carson海兵隊中佐一人で行われており、本文は氏が「I」を主語として構成されています。公的な組織としての報告書であれば、調査委員会が組織され、調査委員会としての報告書が出されるのが通常の姿です。私たちが見た中では、調査委員会の組織した形跡が見られません。調査委員会は作られているのでしょうか? またカーソン中佐は、ヘリ等について技術的な内容に精通した技術者なのでしょうか?

4)報告書には一部に乱丁があったり、誰に対するインタビューなのか明記されたないなど不備が目立つのですが、それらの修正を求めましたか?

5)インタビューでしばしば出てくる[modified quick rig] とは、このヘリ部隊に特有のものなのか否かを明らかにして下さい。少なくとも、報告書からは、以前から幅広く行われている操作であるような記述になっており、同型機に特有のものとは思えません。

6)この報告書には、技術的検討報告は含まれているのですか? 技術報告が含まれ
ているとしたら、どの部分か示して下さい。実は、本文の中に「技術報告「engineering reports」は、できてないのではないかと言うことを示唆する記述があります(p.19 of 210)。カーソン中佐は、「技術レポートが、この兵長の話(コッターピンは、入っていることを確かめたという証言)が間違いであると証明することを信じる」と意見を述べているのです。

7)事故機は、フライトレコーダーやデータレコーダーを持つのか?持たないのか?持つのであれば、その解析結果は、報告書のどこに記載され、どう利用されていますか?これらの記述が見あたらないのです。私たちは、これらのことから、技術報告はまだなされていないと判断しますが、政府はどう考えていますか?

8)問題の焦点であるボルトの抜け落ちを防止するコッターピン(Cotter pin)は、元々装着されていなかったのか、それとも装着されていたが抜けてしまったのか、どちらなのでしょうか? この点は、証拠も含めて本報告書で明快にされているのでしょうか? この点が明らかでないと、報告書によって事故原因が明らかになったとは言い難いのではないでしょうか。

9)「コッターピンの装着ミス」に関して、物証を含めて検討されていないまま、報告書が作られているのではないでしょうか。これらの記述を通じて、事故原因が明確になったという部分はどこなのですか?。

10)貴職が作成した「事故調査報告書の概要」には、第5パラグラフに次のような記述があります。「事故発生原因は整備不良によるものであった。整備要員が実施されるべき整備の内容につき混乱し、また、事故機のフライト・コントロールの接続について決められた手順を守らず、コッターピンはテール・ローター・サーバーの接続ボルトに正しく装着されていなかった。」

   この記述は、報告書のどの部分から引き出したものか示して下さい。私たちが読んだ限りでは、このような結論を引き出せる内容を報告書は持ち合わせていません。
特に質問6)、8)、9)に関わる問題などとの関連で省察していただきたい。上記のような結論を下すには、カーソン中佐の聞き取りだけでは不十分で、きちんとした技術的な検証が必要だと考えられます。
 
 質問は以上です。私たちが検討した中では、報告書としての体裁が整っておらず、事故原因につぃて明快な回答を示していないと思われますが、報告書の公開をもって飛行再開を認めた貴職には、違う見え方がしているはずです。是非とも、私たちが納得のいくように説明していただけますよう、重ねてお願いするものです。
                                                       以上