229−2.2006年6月10、広島県西部住民の会、米軍再編「最終報告」合意に抗議する住民のつどい(11)〜(20)

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その上で、湯浅一郎さんは、米軍再編の全体像と狙いについて、日米同盟の変質であると喝破。自民党新憲法草案と再編の中間報告、そして5月1日の最終合意と憲法記念日の奇妙な日程の一定に注目。米軍再編と重なって、憲法9条の改悪が提起されていることと重なっているのではないか、と指摘します。
逆に言えば、「再編をとめれば、9条を変えずにすむ」とも指摘します。
 
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日米は「共通の戦略目標」で合意。世界中にある、日米の国益のために、自衛隊もアメリカ軍と一緒に闘わねばならないということです。

そして、そのためにも、自衛隊と米軍は共同作戦計画、施設の相互使用などを行っていく。それにしたがって、米軍基地、部隊の再編のあり方を決定したというのです。

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 その再編の構想としては、横田基地への航空自衛隊司令部移転、そしてキャンプ座間への第一軍団司令部と陸自中央即応集団司令部との共同使用。これがかさなり、首都圏の国道16号線沿いに陸海空の司令部が集中し、米軍と自衛隊の一体的運用が可能な形に再編されるということになります。
米軍は、先制攻撃論を、イラク戦争の反省もなく、継続しており、世界規模で動く地球軍としての米軍と日常的に一体化する、という恐るべき狙いがあるといいます。
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 沖縄については、確かに海兵隊は8000人がグアムに出て行くが、一方で、普天間基地に変わる基地を北部に作る、嘉手納基地やキャンプハンセンなどの自衛隊との共同使用を進め、基地も6%しか減らないので、負担軽減かどうか疑問だと、します。
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 そして、広島県西部に関係する分では、岩国への厚木からの空母艦載機の移駐です。

そして、各自衛隊航空基地などへの米軍使用の分散化など、日米基地の共有化です。

この狙いは結局、経済のグローバリズムの下、世界規模のアメリカの国益を守るために、世界のあらゆる地域での脅威(国防体勢見直しQDR2001)に柔軟に対応するため、「軍事力の世界展開」を維持するということです。相手が分からないなどの不確実性があるので、柔軟性、機動性が求められる。数よりも、脅威に対抗する「能力」を高める。同盟国の役割を強化する、などです。
日本などの主要なハブ基地をもちつつも、東欧や中央アジアなどに新たに基地を作り、「たまたま日本に駐留しているだけ」の米軍が世界中に展開することを想定しています。
これは、日米安保条約の第6条からは大きく逸脱しています。

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在日米軍は世界規模で運用される。自衛隊は米軍と一体化する。自衛隊の海外作戦が本務となる。それが9条を変えようとする基本的な原動力となるということです。

岩国については、恒久的な基地として手放さないつもりだと、指摘。このままでは岩国は100年先も基地の町になってしまうといいます。

むろん、この移駐は、そもそも岩国基地の沖合い移設の目的だった騒音の軽減に反するものです。

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艦載機がくれば、NLP基地も必要になる。2003年1月の大黒神島の問題も浮上しかねないということです。

そして、横須賀の空母が岩国にも寄港しかねない。それも2008年には原子力空母に交代した上でです。動く原発が瀬戸内海を航行しかねない。

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これに対して、ご承知のとおり、岩国市民は立ち上がりました。

住民投票は、反対派の圧勝。「だまされた」と感じた市民の反撃でした。
自分たちの町の未来は自分たちで決める。
ただ、今後、政府も多額の振興策を行ってくるだろう。愛宕山開発の大赤字(そもそも移設とセットでしたが)を埋めてやろう、などの誘惑をしてくる。米軍による経済効果があるかどうかの問題を市民が分析していく必要があると湯浅さんはいいます。

 

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 休憩と質疑の受け付けを司会から
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湯浅一郎さんは、憲法9条の改悪と、米軍再編はコインの表裏である。9条改悪反対派と基地強化反対派が連携していかねばならない。そして、憲法改悪反対だけではだめで、武力によらない平和の構想を市民がしていかねばならない、と締めくくりました。