288−1.2008年4月8日、「岩国基地沖合移設事業埋立承認処分取消請求」行政訴訟 第1回口頭弁論 (1)〜(10)
   
(1)  
 4月8日13:10より、2月7日に提訴した岩国基地沖合移設事業公有水面埋立法に基づく変更承認処分取消請求の行政訴訟の第1回口頭弁論が山口地裁 21号法廷で行われました。

(下に岩国基地行政訴訟原告団事務局からの報告)

(次頁下に田村順玄さん、内山新吾弁護士意見陳述全文掲載)

4月9日中国新聞ホームページに出ています。

4月9日山口新聞ホームページにも出ています。

朝日(山口版)、読売(西部版社会面)、毎日新聞(同)は記事を確認しています。

 

 

(2)  
 原告18人のうちの6名が参加されました。原告18人中14人は基地周辺住民で爆音のうるささ指数75W値以上の地域に住んでおられる住民、4人は艦載機部隊が移駐されてしまうと、自分たちの住んでいる家のすぐそばに金網がはられ、米軍住宅が建てられる危険性のある愛宕山地域の住民です。

 

 (3)  
 弁護団10名のうちの9名が参加されました。山口県弁護士会と広島弁護士会が共同でほとんど手弁当で弁護にあたってくださっています。

 

 

 (4)  
 第1回口頭弁論の後、山口県弁護士会館で報告集会を行い、今日の口頭弁論の様子が報告されました。

 

 

 

 (5)  
 最初に弁護団を代表して、周南法律事務所の田畑元久弁護士から挨拶がありました。
 今日は、岩国、山口、北九州、愛媛から25名の方々が傍聴に駆けつけてくださいました。記者席を除くと、お一般傍聴の割り当てが15席しかなく、12:25から傍聴券が配布され、12:35から抽選が行われました。
せっかく駆けつけてくださったのに、傍聴できなかった方々にお詫びの言葉が述べられ、関心の高さと山口地裁の容量不足が指摘されました。傍聴できなかったみなさま、本当に申し訳ありませんでした。

 

(6)

 
 

原告を代表して田村順玄さんから傍聴支援への感謝が述べられました。今日の口頭弁論において、原告団を代表して田村順玄さんが「意見陳述」を行い、提訴に至った思いを語られました。詳細は後ほど・・・

 

 

 (7)  
 今日の法定内での口頭弁論において、弁護団を代表して、広島、山口からお一人ずつ意見陳述をされました。
  広島弁護士会からは山田延廣弁護士が訴訟の意義について述べられました。
  まず、なぜ広島の弁護士がこの裁判を引き受けてくださるかというと、岩国基地を飛び立つ戦闘機が大竹、大野、宮島、廿日市などの広島県西部上空を飛んでおり、爆音の被害が及ぼされていることんに もともと沖合移設事業は騒音の軽減と墜落の危険を回避するための目的で始められたのが、米軍再編によって極東最大の基地にされようとしている。嘉手納基地以上の爆音になることは明らかである。つまり、当初より埋立ての目的が変わってきているのに、用途変更の手続きが取られていない。公有水面埋立法13条の2項に基づくと、市町村長への意見聴取や住民への縦覧手続きや環境影響評価(アセス)のやりなおしが必要であるが、それらが一切行われずに2月12日に承認処分が出されてしまったん。
つまり手続き上の瑕疵がみられるので、その承認処分を取り消すべき。それができないのであれば1996年11月になされた最初の埋立承認処分も取り消すべきである。

(8)

 
 

山口県弁護士会からは内山新吾弁護士が意見陳述をされました。
 裁判所にどういう姿勢で臨んでほしいかを訴えられました。本件は、岩国基地周辺の住民が基地問題で提起した初めての本格的な訴訟です。これ以上は我慢できないとついに裁判を起こされたその重みを裁判官に受け止めていただきたい。
裁判員制度の実施を控え、行政訴訟も市民によりわかりやすく納得の得られる審理をされることを求め、最後に岩国市民の一人の「裁判官には、ぜひ一度、騒音を体験してほしい」という言葉を紹介されました。
 田村さんが意見陳述で紹介された1950年に新しい滑走路建設のために、川砂利を採取したため錦帯橋が流れたことがあるというお話を聞いて、基地はとんでもない被害をもたらしているという怒りと疑問を共有しながら一緒に闘っていきた
いと述べられました。

 

 (9)  
 報告集会にはマスコミも含めて50人の人が集まってくださいました。

 

 (10)  
 原告を代表して藤本博司さんが思いを述べられました。

 

 

 

 

 

 

   
              

 本日13:10から山口地裁21号法廷において、「岩国基地沖合移設事業の公有水面埋立法に基づく変更承認処分取消請求訴訟」の第1回口頭弁論が行われました。18名の原告のうち6名、10人の弁護団のうち9人が参加されました。

 山口地裁21号法廷は記者席を除くと15席しか一般傍聴席はありませんでしたが、岩国、山口、愛媛、広島から23人が傍聴にかけつけ、12:35から抽選が行われました。傍聴にかけつけてくださった方々ありがとうございます。また、せっかく駆けつけてくださったのに傍聴できなかったみなさま、大変申し訳ありませんでした。でも、たくさんの人が駆けつけてくださって、傍聴席を埋め尽くすということが裁判所に公正な審理を求める大きな力になります。

 裁判長は、昨日着任したばかりの裁判長で、これがおそらく最初の事案になるのではないかということです。裁判長が入廷されたのになかなか始まらないので、どうしたのだろう・・・と思っていたら、どうも、山口県の職員は来ていたのですが、被告側代理人が来られず、書記官が調べに行ったところ、来られないということを確認したようで、5分以上遅れて開廷しました。

 原告を代表して田村順玄さんが意見陳述をされました(次頁参照)。

 弁護団を代表して、まず広島弁護士会の山田延廣弁護士が訴状の内容とこの訴訟の意義について意見陳述をされました。「今回の訴状では、山口県が1996年11月に出した最初の埋立承認処分の取り消しと、それができなければ今年2月12日に出された変更承認処分の取り消しを求めるものです。

 基地の被害は強盗、女性に対する暴力事件などが挙げられますが、それだけではなく騒音被害も大きな被害であり、基地周辺住民に多大な被害を及ぼしています。

 沖合移設は当初岩国市民の悲願と言われていましたが、米軍再編によって厚木から空母艦載機部隊と普天間から空中給油機が移転すると、岩国基地は極東最大の基地とされてしまいます。つまり、その基地がもたらす被害も拡大することは明らかです。

 もともと沖合移設事業は騒音の軽減と墜落の危険の回避という目的で始まったので、米軍再編によって当初の埋め立ての目的が大きく変わっています。しかし、用途変更の手続きはとられておらず、添付図書の変更という手続きしかとられておらず、公有水面埋立法に定められているような市町村長への意見聴取や環
境影響調査(アセスメント)のやり直しなどの手続きが必要なのに、それらの手続きが講じられていないのです。その手続きが講じられていない以上、埋立承認処分は取り消されるべきなのです。各地で基地被害についての訴訟が行われていますが、爆音等の基地公害から考えると、基地は国民の安心安全のためかそれと
もアメリカの世界戦略のための足掛かりなのかということがよくわかります。

 よく埋立承認処分の場合、裁判を延ばして、埋立を完了して、もう必要ないと退けられることがよくありますが、このように訴えを起こした原告の思いを受け止めてくださり、審理を早急にして、原告の求めをかなえてください」と述べられました。

 続いて山口県弁護士会の内山新吾弁護士が裁判所に対してどういう姿勢で訴訟に臨んでほしいのかということについて訴えられました。

 「岩国基地をめぐる訴訟はこれが初めてですが、全国各地で訴訟が行われていますが、これまで基地に協力的だった岩国市民が、これ以上は我慢できないと訴え出たことの重みを受け止めてほしい。

 行政訴訟であるが、原告たちにもたらしている大きな被害は爆音である。裁判所に対して、爆音被害という人権侵害を救済することを求めます。

 爆音被害の原因はもとより国にあるが、山口県にもある。基地問題は国政の問題と言われるが、県知事も県民の安心安全を守る立場にある。人権救済のために知事の権限行使に対して厳しい司法判断を求めます。

 住民の負担を軽減するための沖合移設が、基地被害の増大をもたらそうとしている。そのことに対する住民の怒りと疑問がある。この歪んだ沖合移設をめぐる手続きに対し、行政訴訟というかたちで司法のチェックを求めます。

 行政訴訟の難しさがあるが、国はアメとムチで住民の総意をふみにじりながら、基地被害を押しつけようとする中で司法への期待は大きい。裁判員制度の実施を控え、行政訴訟においても市民によりわかりやすく、納得のいく審理を期待します。」

 と述べられ、最後に岩国のある市民のこの裁判への期待を込めて「裁判官には一度是非爆音を体験してほしい」という言葉を紹介されました。

 山口県はすでに「原告適格を有さない」などを記した答弁書を提出していますが、原告適格についても明確な理由が述べられているわけではありません。これはただ単に原告の主張に対し、被告が反論しているだけなので、今後裁判所が原告適格があるかどうかについても判断をしていかれることになります。ちなみに原告適格を有さないという主張は、行政訴訟の場合はよくある主張のようです。
裁判長からの「今後も詳しい反論をされますか?」ということが確認され、山口県職員は「はい」と答えられました。ほぼ1ヶ月で反論の書面を裁判所に提出されるそうです。裁判長が「本当に1ヶ月で書けますか?書けなければまた期日を延期しなければならないので、出さないと裁判が空転しますよ」と指摘される場面もありました。山口県職員は5月7日までに反論の書面を裁判所に提出するようです。それを受けてから弁護団が反論をしていくことが確認されました。

 次回、第2回口頭弁論は6月10日(火)11:00からとなりました。

 口頭弁論終了後、山口県弁護士会館で口頭弁論の内容や意見陳述の内容について、それぞれの発言者から説明がありました。


 岩国基地のありようを問う初めての裁判です。内山弁護士の陳述にもあるように、これまで基地を我慢して受け入れてきた岩国市民がここにきて勇気を出して声をあげてくださったのです。原告の方々だけに闘わせるのではなく、私たちも今後も原告を支え、この裁判の意義を伝えていき、適正な審理を裁判所に求めて
いきたいと思います。


(報告:岩国基地行政訴訟原告団事務局)