核拡散・核軍拡競争に拍車をかける「米印原子力協力協定」に反対し 日本政府に明確な反対表明を求めるヒロシマ共同声明
広島県被爆者団体協議会 理事長 坪井 直
広島県被爆者団体協議会 理事長 金子一士
(財)広島平和文化センター 理事長 スティーヴン・リーパー
原水爆禁止広島県協議会 筆頭代表 大森正信
NO DU(劣化ウラン兵器禁止)ヒロシマ・プロジェクト 代表 嘉指信雄
インド・パキスタン青少年と平和交流を進める会 世話人代表 森瀧春子
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA) 共同代表 岡本三夫 河合護郎 森瀧春子
アメリカ政府とインド政府は、米印原子力協力協定を結び、核燃料、核技術の自由な授受の保障をしようとしています。
1998年にパキスタンと同時に核実験を行い、核兵器保有国となったインドは、核拡散防止条約(NPT)に加盟せず、包括的核実験禁止条約(CTBT)への署名批准も行っていません。
NPTは五核兵器保有国には核軍縮を義務付け、かつ非加盟国に対しては、核不拡散のため、民生用も含めて核燃料、核技術を提供しないと決めています。
原子力供給国グループ(NSG)は、1974年のインドの核実験をきっかけにできたもので、NPT非加盟国には核関連物質の輸出を認めない基本的指針を出しています。その指針変更のためには45カ国全会一致の承認が必要です。
米ブッシュ政権は、その政権期間内に米印原子力協力協定を発効させようと、両国国内の承認はともかく、国際的手続きに必要な国際機関のIAEA理事会やNSG総会を臨時に召集させるという強硬手段をすすめています。
8月1日に、国際原子力機関(IAEA)が、その臨時理事会で、インドの22基の原子炉の内、民生用14基だけの保障措置(査察)協定を承認しましたが、肝心の核兵器施設群から分離し、核兵器用の核分裂性物質の製造機関などは対象外にしたものです。
インドへの核関連物質の提供を自由化するという例外措置は、インドの核武装の更なる強化と、連鎖反応的にパキスタンなどの例外措置要求を引き出すのみならず核兵器開発競争と核拡散を生み出す結果になるでしょう。
すでに危機的状況にあるNPT体制を完全に崩壊させ、核廃絶への人類の課題を更に重くさせてしまいます。
日本政府は、被爆国としての責務である核兵器廃絶への努力を貫くため、NSG総会において、核拡散に手を貸すことなく、明確な反対の意志を表明するよう強く要請します。
被爆地ヒロシマは、これまで被爆者を中心に、非人道的大量破壊兵器・核兵器の廃絶を求め行動してきましたが、今回の米印原子力協力協定のもたらす事態への危機感から、あらためて声を一つにして訴えるものです。
2008年8月21日
<連絡先> 核兵器廃絶をめざすヒロシマの会事務局
082−532−1311
何と、日本政府は容認する方向ですが、NSG(原子力供給グループ)45カ国のうち、ニュージーランド、アイルランド、オーストリア、スイス、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、オランダは、簡単には容認しない情勢です。一カ国でも反対を貫けば、発効を止めることができます。NSG総会は9月4〜5日に開催されます。「不拡散」を言っている、G8の議会議長が、ヒロシマの地で、この問題にあいまいな態度を取ることは、許されません。市民の声をつきつけよう!
米印原子力協力協定に反対しよう!