351.2010年3月10日、旧軍港市転換法60年、呉市への要請行動(1)〜(5) 
   
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要請書を読み上げるピースリンク呉世話人西岡由紀夫さん

 

 

 

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呉市在住の5人と広島世話人新田秀樹さんの6人が参加

 

 

 

 

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対応したのは総務企画部小松副部長、徳丸総務課長と産業部海事歴史科学館吉川副館長

 

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申し入れ後やり取りを行う

 

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 紹介議員の山上文恵市議(社民)、大野喜子市議(社民)

 

 

 

 

   
              

2010年3月10日 

呉市長 小村和年 様


要  請  書

軍転法施行から60年の今年、市政に軍転法を生かすよう求めます。

 今年は、呉市など四つの旧軍港市に適用されている「旧軍港市転換法」(以下、軍転法と記す)が1950年6月28日に施行されて60年になります。軍転法施行の3日前、米ソ冷戦下で朝鮮戦争が勃発し、その渦中で同法は変質を余儀なくされた面があるとしても、そこには、市民と行政が一体となって文字通り「平和産業港湾都市」への希望と展望が明確に示されており、60年を経てその現状を見つめなおすことも意味があります。
 この法律は第一条に示されているように、旧海軍とともに歩んできた戦前半世紀の「軍港」の歴史を強く反省し、「平和産業港湾都市」として再生するために制定されたものです。法律の制定に際しては、呉市が最先頭にたって、横須賀・佐世保・舞鶴の諸市など関係各方面に働きかけ、議員立法としてつくられました。中でも重要なことは、憲法95条の地方自治に関する条項に基づく住民投票(直接民主主義)で大多数の市民が賛成し、熱烈な支持をうけてできたことです。投票率82.2%、投票総数8万7993票、うち賛成が8万1355票(95.85%、反対3523票、無効3115票)にのぼっています。数度にわたる大空襲を受け、敗戦がきっかけになったとはいえ、60年前、呉市民は住民投票という手段を通して、「軍隊とともに歩まない道」を、自らの意思で選び取ったのです。
 それから60年を経て、周囲の状況が変化した面があるにしても同法は依然として生きていますし、むしろ今日の状況の下で新たな光を放っています。軍転法は戦後史の中で憲法9条を具体化した地域的な基本法です。軍転法をつくるにあたっての理由書や呉市民大会の宣言文などはこのことを端的に表しています。例えば、
「百年の永きに亘り、営々として構築された旧軍港は専ら戦争目的にのみ供用されてきたのである。…。今次大戦は日本をほとんど破滅の状態において終結を告げ、三代にわたってここに定着した市民は住むに家なく、帰るべき故郷はすでになく、荒廃した軍施設を前に失業の群集と化し去ったのである。破壊されたスクラップの山と転覆した艦船の残骸はこれを眺める市民に戦争の惨禍と無意味さをしみじみと訴えるのである。市はここに180度の転回をもって、せめて残された軍財産を平和と人類の永遠の幸福のために活用し、速やかに平和産業都市、国際貿易港として更正せんことを誓うのみである。」(1949年10月、旧軍港市転換法案要綱 理由書)
「かつて軍港都市であった呉市は、敗戦による苦難を経て今更正の悩みを続けている、戦争の惨禍を身をもって体験した市民は誰よりも平和を欲求し人類永遠の幸福を願ってやまない。/旧軍港市を転換し永久に平和産業都市として建設することは、わが呉市を更正させる唯一の原動力であり、同時に日本国民が戦争を放棄し恒久平和を実現しようとする意思を明らかにするゆえんであると確信する。/こゝにわれわれ十九万市民は、偽らない心構えを宣明するとともに平和産業港湾都市の速やかなる実現を熱望してやまないものである。」(1950年3月5日 呉市民大会 宣言)
 翻って、呉市の現状をみるに、
@ 米軍基地が存在しています。中でも数々の戦争に弾薬を供給し、その危険性が指摘されてきた広弾薬庫の返還決議が市議会で6度も行われながら、米軍への弾薬提供用地として機能しつづけています。
A 海上自衛隊基地が呉市の中心部にあり、1991年の掃海部隊のペルシャ湾派遣以来、インド洋などに海外派兵が行われ、今も「海賊対処」を名目に派兵が継続し、言わば海外派兵が常態化しています。これは、冷戦終結後の1990年代以降のことであり、その必要があるのか、疑問を持たざるを得ません。
B そうした状況下で「戦前の呉の繁栄」を「復元」させるがごとき呉市海事歴史科学館(通称、大和ミュージアム)が2005年4月、開館しました。これは戦艦「大和」の10分の1模型を核に、艦艇や兵器が陳列された軍事技術を誇る“呉海軍歴史博物館”といっていいと思います。またこの建物に隣接して海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)が、2007年4月、開館し、掃海活動の展示とともに、退役した潜水艦の実物が陸揚げされて、屋外展示されています。大和ミュージアムには、開館以来4年3ヶ月で500万人の入場者があり、てつのくじら館とともに、呉の観光スポットとなっています。
C その観光客を目当てにしてか、市内には「海軍さん」「海軍○○」の看板や幟が溢れかえり、その商業主義は目に余るものがあります。これは旧海軍を懐かしみ美化するがごとき状況といえます。
D 呉市内すべての小中学校で、大和ミュージアムの「呉の歴史」展示コンセプトと酷似した『子どもたちに語り継ぐ 呉の歴史絵本 日本の近代化と戦後の復興を支えたまち』が児童・生徒に無料配布され、卒業式では「日の丸」「君が代」とともに、戦前につくられた「呉市歌」が歌われています。これは戦前のものをそのまま現在に投影することであり、旧軍港時代の呉市を美化していくことになります。そして、教育現場は平和教育の実践がきわめて困難な状況になっています。

 わたしたちは、軍転法50年にあたる2000年に「軍転法の適用を拡大させよう!」と積極的にキャンペーンを実施し、呉市への申し入れも行いましたが、中でも大和ミュージアムの開館以降、軍転法をめぐる現状はさらに悪くなっていのではないでしょうか。だからこそ、逆に「軍転法」は一層の輝きを増し、今こそ吟味し生かされる時なのです。
 その意味で、貴職として軍転法とその意義を市民に知らせるべきです。同法第8条には「市長は、平和産業港湾都市を完成することについて、不断の活動をしなければならない」とあります。その最大限の努力をされるよう心より期待するものです。わたしたちが知る範囲では、軍転法ができて60年の今年、貴職は、軍転法に関わる宣伝・啓発をほとんどしていません。改めて呉市にとって基本法にあたる軍転法を今日的な状況の中で位置づけ、その意義を見つめ直すべきです。そこで、次の通り要請します。

1 軍転法の存在と意義を市民に知らせること(リーフレットの作成と配布など)。
2 軍転法第8条に対する基本姿勢を明らかにすること。
3 旧軍港市転換法の60年を総括し、市民に知らせること。
4 旧海軍用地、米軍弾薬庫として使用されている地域の返還を求め、跡地利用に関する具体的なプログラムを提示すること。
5 湾岸戦争を契機として、自衛隊が海外に派兵される「軍隊」としての性格を次第に明らかにしてきている。自衛隊の施設といえども未転換地であり、最終的には、非軍事的な利用へと転換させるプログラムを作成すること。
6 軍転法がつくられた時点での市民の思いは、憲法9条の精神を具体化した特別の法律を呉市につくることであり、その精神に照らして市政の方向を具体化し、条例化をすること。
7 以上の観点から、呉市海事歴史科学館の内容を見直すこと。
・中でも軍転法に関する常設展示を充実させること。今年中に軍転法に関する「特別展」もしくは「企画展」を実施し、軍転法の内容と意義を市民や来館者に知らせること。
・呉市海事歴史科学館の入口に、軍転法の条文と趣旨を掲示し、呉市行政が「軍港の歴史を反省し平和産業港湾都市の完成をめざす」姿勢であることを市民及び入場者に知らせること。

入れるな核艦船!飛ばすな核攻撃機!ピースリンク広島・呉・岩国(28団体)

カトリック正義と平和広島協議会       共育・共生を進める広島連絡会
呉教育労働者研究会             呉ピースサイクル
呉YWCA79女たちから           8・6広島集会世話人会
芸南火電阻止連絡協議会           原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会
在日韓国青年同盟広島県本部         更紗の会
市民運動交流センターふくやま        障害者サポートセンターTOGETHER広島
ストップ・ザ・戦争への道!ひろしま講座   全国水平運動研究会
第九条の会ヒロシマ             毒ガス島歴史研究所
トマホークの配備を許すな!呉市民の会     広島キリスト者平和の会
広島平和と生活を結ぶ会           日本キリスト教団広島西分区牧師会
日本軍「慰安婦」問題を考える会・福山    広島YWCA
ピースサイクル広島ネットワーク       日本キリスト教団西中国教区基地問題特別委員会
平和を考える市民の会・三次         米兵犯罪を許さない岩国市民の会
わたしたちの性と生を語る会・広島      リムピース岩国

(連絡先)呉世話人:西岡由紀夫(トマホークの配備を許すな!呉市民の会)
呉市幸町3-1(呉YWCA気付) 0823-21-2414
広島世話人:新田秀樹(ピースサイクル広島ネットワーク)
広島市中区大手町4-3-10(広島YWCA気付) 090-3373-5083
岩国世話人:田村順玄(リムピース岩国)
岩国市牛野谷町3-75-19  0827-31-3383