448.2012年5月16日、岩国、愛宕山訴訟第11回口頭弁論報告集会(1)〜(12)  
   
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広島地裁でのこの日の口頭弁論は、11時30分すぎから30分弱で終わりました。岩国からのバスは21名だったということですが、筆者のように別便で行った人も多く、さらに広島の人も多かったようで、弁護団、原告席、傍聴席(40名)ともほぼ満員でした。

この日は、山田延廣弁護団長が、原告代理人として、下記の提出され書面にもとづき、意見を言われただけでした。

いつものことですが、裁判については、写真撮影禁止のため写真での法廷報告は不可能です。

次回口頭弁論の日時が、7月25日午前11時ということが決まり閉廷。

正午になりましたが、皆さん隣の弁護士会館に移動して、報告集会が行われました。

原告団長として、「愛宕山を守る会」岡村寛代表世話人が挨拶。

 

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   司会は大月純子さん。
 

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   意見陳述された山田弁護団長から説明。
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弁護団の参加者は6名。それ以外の参加者は数えてみたところ44名でした。

 

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   ちょうど昼休みになったので、いつものような広い会場は使えず、狭い会議室は参加者でぎゅうぎゅう詰めでした。
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   足立修一弁護士からも報告。
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   質問する天野一博、「愛宕山を守る会」事務局長。
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   議論に応じられる山田弁護団長
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   田村順玄市議からも、5月5日の件も含めて報告が。
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   なぜ米軍沖合移設に、愛宕山を削った土砂を使わなければならなかったのか、あの時すでに米軍住宅建設の建設が用意されていたのではないか?そういうことは、思ってはいたが市役所もどこも、とりあって貰えなかったと、悔しい鋭い思いをぶつけられる高田梓さん。いつも愛宕山での座り込みではお世話になっています。
 (12)   
   最後に、今後とも裁判闘争、愛宕山での座り込み、ガンバローで終わりました。
   
              
   
  2012年5月16日 愛宕山新住宅市街地開発事業認可取消処分取消請求事件口頭弁論

 代理人意見見陳述

原告代理人弁護士 山田延廣

  当職は、本事件の弁論が更新されるに当たり、意見を述べる。本件事件の審理が開催された際、意見を述べており、この意見と重複する部分もあるが、改めて意見を述べる。

 1、岩国市民による訴訟提起の現状

(1)訴訟の現状とその提訴理由

  現在、岩国市民は、岩国基地問題に関し、@本件山口地裁本庁における埋立承認処分の取消請求訴訟、A山口地裁岩国支部に係属している爆音訴訟、及びB広島地裁に係属している愛宕山の開発事業の廃止処分の取消請求訴訟の三件を提起している。

 岩国基地問題に関し、岩国市民が国や山口県知事等を相手として、これほど多くの基地訴訟を提起して争う理由は、国と山口県に「2度も騙された。」という思いがあるからである。

 二度編されたとされる一つは、岩国基地の沖合移設事業であり、他は本件愛宕山の開発事業の廃止問題である。沖合移設事業は、国と山口県の説明によると、沿岸を埋立てたうえ慕地を1q沖合に移し、基地の騒音の軽減化と飛行の安全確保を目的とするというものであった。その埋立用の土砂は愛宕山から採取し、その跡地を本件開発事業により、住宅地や福祉・スポーツ施設の建敦用地に整備して利用するというものである。

 永年にわたり戦闘機等による爆音等の基地公害に悩まされ続けていた多くの岩国市民は、この基地移転による騒音の軽減化と土砂採取の跡地に諸施設が設置されるという一石二鳥ともいえるばら色の構想に対して賛成した。

愛宕山の近くに住む原告ら住民の中には、里山であるこの愛宕山が失われることに対して反対したいとの思いもあったが、福祉施設などが出来るのであればと考えて敢えて反対はしなかった。

ところが、本件埋立が承認された後、岩国基地は米軍再編の結果、厚木基地から、空母艦載機59機、普天間基地から空中給油機12機が移駐することが決まり、岩国基地はジェット戦闘機120機余を抱える極東第一の航空機基地となることが予定され、騒音どころか墜落の可能性も高くなり、基地公害が増悪する結果となってしまった。

 

(2)開発事業の廃止と怒り

  さらに、住民らを怒らせたのは、本件愛宕山の開発事業の廃止(取消し)である。

 愛宕山の近隣住民は、本件愛宕山開発の土砂採取による粉じん被害、ダイナマイート爆破による振動、トラックの走行による騒音被害、雨によって土砂が流出した洪水被害が生じるなどの様々な被害を受けてきたが、跡地利用には様々な施設が作られるのだからとの思いで耐えてきたのである。

  ところが、山口県(公社)は、埋立用の土砂の採取が終わるや否や、愛宕山跡地は売れないとして、米軍住宅地として売却することとして本件簡発事業を一方的に取消すことを決めてしまい、国はこれを簡単に認可してしまった。

 つまり、沖合移転や愛宕山の開発事業は、騒音の軽減や土砂採取の跡地の開発事業などは嘘で、米軍再編による基地機能の拡張のためであり、本件愛宕山の土砂採取後の跡地は、フェンスに囲まれた米兵のための施設と化することとなったのである。山口県と国は、当初からこれら密約を結んでおり、岩国市民を騙していたのではないかとの疑惑も生じている。この怒りが、前記三つの訴訟を提起させたものである。

2、被告の対応

1)開発事業の廃止については明文の根拠がないこと

 原告らは、「この様な国や山口県の勝手気ままな対応を許してはならない。」という思いに基づき本件訴訟を提起し、この愛宕山開発事業の取消処分は法的根拠がないため違法である旨主張してきた。

 これに対し、被告国は、開発の根拠法令である都市計画法等には廃止に関する明文規定がないことを認めながらも、いわゆる「行政処分の撤回」であるなどと主張して自らの行為を正当化しようとしている。しかし、本来、法治主義の下では行政行為は、法律に従って行われるものであり、明文の根拠がない行為を易々と認められるべきものではない。貴裁判所は、この点につき十分に考慮したうえ審理されたい。

2)窓口論争

 被告国は、この主張だけではなく、本件訴訟においても、原告には本件訴訟を提起する地位や利益がない旨主張し、原告の当事者適格や訴えの利益を厳しく争って窓口論争を延々と強いている。これは、被告国ら行政側のお決まりの対応であって、この主張を延々として訴訟を長引かせたうえ、その間に本件跡地を国に売却してしまっており、今さら開発問題二丁目について判決を付しても意味がない。」と主張−して、本件訴訟を無意味化しようとしているものと思われる。

 しかし、これを許すことは、国による基地の移設問題、及び本件愛宕山の開発事業の廃止問題という二つの欺瞞的な行為に続き、訴訟における引き延ばしという三度目の不誠実な対応を許すこととなる。原告らが、国により「三度に渡り翻弄きれた。」と述べることだけは防ぐべきである。

3)まとめ

 貴庁は、この被告国による本件訴訟における窓口論争を早々に切り上げたうえ、早

期に実質的な審理に入られたい。

3、結論

 貴庁は、以上に述べた本件訴訟の意義、及び原告らのこの思いを十分に尊重したうえ、速やかに、この開発事業認可の取消しをさらに取消して、当初の目的どおりの開発を行わせるよう求める。

                                           以 上