51−7.2003年1月18日、イラク攻撃と日本の参戦に反対する広島県民大集会、デモ(61)〜(70)

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         集会アピール:
     全力で阻止しよう、アメリカの対イラク戦争を!


 新たな世紀が始まった今、止めどのない軍事行動が世界規模で拡散しようとしています。9月に公表された「ブッシュ・ドクトリン」(「米国の安全保障戦略」)でアメリカは、国家利益を反映するためには、国連憲章も国際法上のいかなる規範をも踏みにじる権利を持つと主張しています。その方針に沿ってアメリカは、「悪の枢軸」呼ばわりした3国、とりわけイラクへの核査察を口実とした総攻撃の準備を進め、国連の査察結果に関わりなく、中東における経済的かつ軍事的利益を追求するためイラクを攻撃しようとしています。アメリカは、「悪」や「文明の敵」とレッテルを貼るその他の国に対しても先制攻撃を仕掛ける権利があるという主張を、世界に承認させるための大きな一歩としてイラク攻撃を位置づけています。
 ブッシュ政権は「9・11」をオサマ・ビンラディンをはじめとするアル・カイーダの犯行だと決め付け、これと親密な関係にあるイラクを攻撃するのだと抗弁していますが、フセイン政権とアル・カイーダとの関係を示す証拠は何ひとつありません。
また、イラクは、いかなる国家に対しても大量破壊兵器を使用した前歴はありません。大量破壊兵器を使用したことのある「前科者」は、むしろアメリカです。したがって、イラクに対する戦争には何の正当性もありません。ブッシュ政権の主要な関心は、世界第2の産油国であるイラクの石油を支配することにあります。
 アメリカは、湾岸戦争で10万人もの市民を殺しただけでなく、イラクの主権を無視した飛行禁止区域を設定し、現在でもイラク国土に爆弾の雨を降らせています。10年以上に及ぶ経済制裁も続いており、市民生活は極度の困窮に追い込まれ、特に無数の子どもたちが幼い命を断たれています。また、米軍が使用した劣化ウラン弾という放射性兵器によると見られる子どもの白血病やガンが多発しています。そのイラクに、再び爆弾の雨を降らすことは、何としても止めさせねばなりません。
 一方、日本政府は、対テロ特措法による間接支援、戦費支出など、イラク攻撃を前提とした戦争協力の準備を進め、世論の反対を無視してイージス艦派遣まで断行しました。そして、朝鮮半島の緊張を利用して、戦争ができる国としての体制を整えるために有事法制を強行採決する構えです。これが、アジア、特に朝鮮半島の緊張を高めることは火を見るより明らかです。そもそもこのような法案が日本国憲法第九条のもとで議論されていること自体が許せないことであり、「国民保護法制」が「国民の管理・統制、人権侵害法案」であることも含めて、ともに廃案にすべきです。日本がすべきことは、世界に誇る憲法九条をもつ位置から、有事にいたらないよう日常的外交努力をし、近隣諸国との間に友好と信頼の関係を築く平和外交に徹することです。
 人類初の原爆被爆県となった広島に暮らす私たちは、核兵器は絶対悪であり、戦争は二度としてはならないとの信念から、有事法制の廃案を強く求め、国際法上も道義的にも正当性のないアメリカによるイラク攻撃と日本の戦争協力に強く反対します。
また朝鮮民主主義人民共和国の核開発の動きを初めとして、すべての核兵器開発に強く反対します。
 本日は、日本国内ではヒロシマだけでなく、約20箇所の地域で反戦集会が開かれ、アメリカ、ヨーロッパ、中南米、アジアなど世界の各地で、同時多発的に人々が反戦の声をあげています。市民が戦争反対の声を上げることによって、アメリカを中心とした「力の政治」を変えることはできるはずです。「アメリカはイラク攻撃を中止せよ」という声は、いま国際的な世論になりつつあります。 私たちは、被爆地ヒロシマから、アメリカの対イラク戦争に反対するよう世界の人びとに呼びかけます。そして、国連安保理事会がアメリカの対イラク戦争に反対する決議を採択するよう訴えます。平和を愛するすべての人々に、非暴力抵抗によって民主主義と自由を育み、暴力の悪循環に終止符を打つために固く手を結び、連帯の声をあげるよう呼びかけます。


2003年1月18日
有事法制を廃案に!アメリカのイラク戦争に反対する広島県民大集会参加者一同