230−3.2006年6月27日、「空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移駐」などについて、「3回目の公開質問状」への広島防衛施設局からの回答(21)〜(25)

 (21)  
 前の広島世話人の藤井純子さん
 (22)  
 下に2005年11月10日(T)、及び2006年1月17日(U)の公開質問状を掲載しました。
 (23)  
 大月純子さんも意見
 (24)  
 3時過ぎました。そろそろ時間です。
 (25)  
 新田秀樹さんは終わったらテレビのインタビューに

            

(参考)

公開質問状T(質問および回答)、公開質問状U、公開質問状V

公開質問状(2005年11月10日)

 「空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移駐」への回答をめぐって
        
(1)中間報告では、安保条約に基づいてという記述がなく、アメリカの対テロ戦争や先制攻撃戦略を担うものとして在日米軍を位置づけることになれば、実質的に安保条約第6条を削除したも同然になりますが、安保条約6条の規定は、どう活かされるのでしょうか?

  「2+2」共同発表は日米安全保障条約第6条の規定および、この解釈にいささかの変更をも加えるものではありません。また、「2+2」共同文書に掲げられたわが国に関する措置は、いずれもわが国の憲法および安全保障条約の範囲内で行われるものです。「2+2」共同発表にも安全保障条約および関連取り決めを遵守しつつと明記してあります。なお、今回の「2+2」共同発表を取りまとめた経緯については山口県等からの質問事項の1(1)に対する回答で述べたとおりです。

※ 第一軍団司令部の座間への移駐と陸上自衛隊総体の同居という事態は、安保条約6条と整合性はあるのでしょうか。第一軍団司令部は、東アジアから中東に至る「不安定な弧」と呼ばれる広い範囲を対象として戦争の指揮ができる、きわめて攻撃的な部隊と言われます。第一軍団司令部の任務領域が、「極東に限られる」という約束をアメリカがするとでも言うのでしょうか?

「2+2」共同発表と表現している文書は、政府としては「中間報告」と称していますが、文書のどこにも「中間報告」という表現はないことは認めますか?

(2) 「米空母とその艦載機部隊の長期にわたる前進配備の実現可能性を保証するために、空母艦載ジェット機およびE2C飛行隊は厚木基地から、岩国基地に移駐される」という記述があり、同様の記述は中間報告のどこにもないことは、横須賀、岩
国が特別の位置をもつと見られますが、「長期にわたり」とは、いかなる意味なのか説明してください。

わが国の安全と地域の平和と安定のためには、見通しうる将来にわたり引き続き米空母の前方展開が必要との認識であり、いかなる趣旨で長期にわたる前方展開との記述がなされているものです。

※「長期にわたる前方展開能力を確保する」という表現は、「2+2」共同発表の他にはどこにもないと言うことの真偽について答えてください。「他のどこにもない」とすれば、空母機動部隊が「特別の意味」を持っていると考えざるをえませんが、「その特別の意味」とはいかなるものなのでしょうか。

(3) 移駐が計画されている空母機動部隊は、近年における戦争であるアフガン攻撃やイラクへの先制攻撃においてどのような作戦を行ってきているのか、その際、どのような爆弾を、どのくらい使用してきているんでしょうか、説明してください。それは、安保条約上、例えば第6条に抵触するものではないのでしょうか。

(3) お尋ねのようなアフガンやイラクにおける米軍の活動の詳細については政府として承知しておりません。いずれにせよ、岩国飛行場に移駐することが計画されている米空母艦載機部隊が日米安保条約に抵触する形で活動しているとは政府として考えていません。

※この回答は、矛盾に満ちています。NHKを初めテレビ各社が、「従軍記者」そのものとして、バグダッドを攻撃する空母の甲板から様子を報道している場面は、空想ごとであるとでも言うのでしょうか? 政府関係者は、それらの報道に接したことはないと言われるのですか? 更に「空母機動部隊が安保条約に抵触する形で活動しているとは考えていない」と言い切れる根拠はなんですか? 「アフガンやイラクにおける米軍の活動の詳細については承知していない」とすれば、論理的には「米軍が安保条約に抵触する形で行動しているかどうかはわからない」という帰結になります。

(4) 「岩国基地は、沖合移設の建設中の工事が完成した後、空母艦載機の安全で効果的な作戦のための必要な設備や訓練空域を有することになる」ことを前提として、厚木の部隊を持ち込むと言うことは、「滑走路沖合移設事業の精神は変更されたと言うことなのでしょうか?。また「岩国基地における運用の増加による影響を緩和するため、以下の関連措置をとる」とあるのですが、これでは、何のために滑走路を沖合移設したのかわからなくなります。沖合移設により、敷地が40%増加し、そのことが、厚木の部隊が来ても余裕のある運用ができる状態を生みだしたことになるのではありませんか?

(4) 滑走路移設事業は岩国飛行場の運用上、安全上および騒音上の問題を解決し、米軍の駐留を円滑にするとともに、同飛行場の安定的使用を図るため、滑走路を東側沖合いへ1000メートル程度移設する事業として着手したものであります。一方、このたび日米両政府は、新たな安全保障環境に対応するため、兵力・体制の再編を含む協議を行い、その中で空母艦載機については「滑走路移設事業終了後には周辺地域の生活環境への影響がより少ない形で、安全かつ効果的な航空機の運用のために必要な施設および訓練空域を備える」こととなる岩国飛行場に移駐することが妥当なところであります。

※ 岩国市、山口県が沖合移設に賛成したのは、「あくまでも新たな攻撃機の配備など基地の機能強化はしないと言うことを前提として、騒音や墜落の危険性が少しでも緩和すること」を期待してのことです。従って、山口県が今でも要求しているように拡大する面積213ha分は日本側に返すべきなのです。なぜ、政府は、埋め立て面積に匹敵する陸上部分の土地の返却を要求しないのですか?

(5) 貴職が作成した沖合移設事業が終了後の「変更後配置計画図」なる図面がありますが、この図面に書かれている配置を、理由を含めて説明してください。例えば、連絡誘導路3本が、東西に滑走路をつなぐ形で計画されているのは、何を目的とするのか?
現滑走路を含め、その西側一帯の配置についても、どのように変化するのか明らかにしていただきたい。特に、現駐機場・格納庫と、北に集中する駐機場・格納庫との仕様の違いを、面積などの具体的な指標で示してください。
 また「中間報告に提案されている厚木からの移駐」計画が出た以上、更に変更されるものなのでしょうか? 

連絡誘導路3本の目的については、同飛行場における米軍および海上自衛隊の航空機の運用を安全かつ円滑に行うためであります。また、現滑走路を含む西側一帯の配置計画につきましては、米側の計画等を踏まえ、検討していく考えです。現駐機場格納庫と新駐機場格納庫の仕様の違いについては、現駐機場格納庫について申しますと、格納庫につきましてはS―1(鉄骨の平屋)、約18,000u、4棟ございます。旧軍の建物を含んでおります。駐機場につきましては約94,000u、新駐機場と格納庫の仕様につきましては、格納庫がS―1およびRC―2(鉄骨平屋と鉄筋コンクリート2階建)、これが約25,700u、これが6棟あります。駐機場につきましては約124,000uということになっています。なお駐機場および格納庫の移設は、現有施設の狭隘かつ老朽化に伴い計画しているもので、滑走路移設事業には含まれておりません。このたびの「2+2」共同文書において、岩国飛行場に配置される米海軍および米海兵隊部隊ならびに民間空港の活動を支援するために必要な追加的な施設、インフラおよび訓練区域の整備については具体的には今後、日米間で協議の上、決定することとなっております。

※2005年に示された配置図は、変更される可能性があると言うことですね。


(6) 「米海軍、及び米海兵隊の全航空機に対して、十分なレベルが維持されるための訓練空域の調整」とは、何を意味するのですか?。「訓練空域」とは、いかなる訓練空域なのか?

岩国飛行場に空母艦載機部隊が移駐することに伴い、当該空母艦載機を含む米海軍および米海兵隊の航空機部隊の訓練所要を満たすためにどこの訓練場を使用するか、また空域の広さ、使用高度、使用時間帯などについて、今後日米協議で検討していくことを意味しております。なお、岩国飛行場の訓練空域は山口県等からの質問事項2(1)Fに対する回答で述べたとおりです。

参考:『2(1)Fについて』岩国飛行場周辺においては、日米地位協定等により米軍が使用する空域として北西約150kmの洋上に「九州空戦訓練空域」、西方約300kmの洋上に「ゴルフ空域」、また、南東約250kmの洋上に「リマ空域」などをすでに設定しているほか、自衛隊の訓練空域も設定されている。
岩国飛行場に空母艦載機が移駐することに伴う訓練空域に関する措置については、今後米側と調整する必要があり、その上で回答する考えである。

※回答で、「自衛隊の訓練空域」とは、具体的にどこを指すのか? 「R567」エリアは、それに当たるのか?

(7) 空母艦載機離着陸訓練のための恒常的な訓練施設(FCLP=Field-carrierlanding practice)の特定。硫黄島の既存のものは、暫定的なもので、日本政府は、米軍に対して、受け入れ可能な恒久的訓練施設(FCLP施設)を提供するためのコミットメントを維持する」ということと、厚木から岩国に移駐することとは、どのような関係にあるのか?厚木よりも岩国の方が、恒久的な施設の設置に有利な条件がなければ、わざわざ移駐する理由がありません。
中間報告が出る前の一部報道で、「岩国周辺」の離島で確保することを模索する」いう趣旨のことが出ていましたが、これなら筋は通ります。これでまず想像するのは、2004年1月に持ちあがった大黒神島でのNLP訓練用滑走路構想です。離島で、滑走路が造れる程度の島は、西日本においては、大黒神島をおいては候補地が見あたりません。
 硫黄島の施設は、「暫定的な措置」であり、日本政府は、「受け入れ可能な恒常的な訓練施設を提供するとのコミットメント」を再確認するとあり、これを前提として、岩国に移駐することは極めて重大です。

今回の「2+2」共同文書において空母艦載機離発着訓練のための恒常的な訓練施設の特定が示されている理由、および空母艦載機を岩国飛行場に移駐する理由についてはこれも山口県等からの質問事項2(2)@、および1(3)に対する回答に述べているとおりです。
『2(2)@について』空母艦載機離発着訓練は、現在、暫定措置として、平成3年以降、できる限りの訓練を硫黄島で行っているところであるが、硫黄島での訓練には次のような種々の制約があるため、米側は従来から恒常的な空母艦載機離発着訓練のための施設の確保を強く要望している。
・硫黄島は、厚木飛行場から約1,200kmの遠距離に所在し、近傍に緊急時のための代替飛行場が不在。このため、空母艦載機を運用する上での大きなリスクが存在し、搭乗員の負担もきわめて大。
・ 硫黄島はスコールや火山活動という不安定要素が存在し、飛行場の確実な使用に制約あり。
また、厚木飛行場での空母艦載機離発着訓練実施については深刻な騒音問題が発生していたことから、日本政府としては、厚木飛行場に代わる代替訓練施設を整備することとし、三宅島をその適地と判断して、昭和60年代初めから地元自治体等の理解を得るよう努力してきたところであるが、なかなか理解が得られず、更に平成12年7月に三宅島の雄山が噴火したことから、現在、その状況を見守っているところである。
このような状況を踏まえ、今回の「2+2」共同文書において、恒常的な空母艦載機離発着訓練施設を特定し、日本政府がこれを提供するとのコミットメントを再確認する旨示されているものである。
日本政府としては、現段階で、恒常的な空母艦載機離発着訓練施設の整備場所を特定しているものではないが、今後、三宅島の取り扱いも含め検討を行い、引き続き、その実現に努めていく考えである。
これに関連して、『1(3)の説明』日米間の協議を経て得た両国の共通の認識として、抑止力の維持には、米空母およびその艦載機の長期にわたる前方展開能力の確保は不可欠である。
現在空母艦載機部隊が所在している厚木飛行場は住宅密集地に所在しており、騒音や安全性に関して、長い間住民に負担をお願いしてきたところであるが、今後、日米同盟を安定的に維持していくためには、これらの問題を早期に解決する必要があると判断したところである。また、抑止力維持の観点からは、統合的な米海軍・海兵隊の航空戦力を同一基地に集約し、柔軟な運用を可能にすることも重要である。
空母艦載機の移駐については、次のような理由から岩国飛行場としたものである。
@〜B以下略

(8) 「空中給油機を受け入れるため海上自衛隊鹿屋基地において必要な施設の整備」をし、「日米同盟の能力や柔軟性を高めるために、日本の他の場所から追加される自衛隊や米軍C−130やP−3航空機のローテーションを支援することにも有用
である」という形で、自衛隊基地に米軍機が常駐すると言うことは、鹿屋も米軍基地になるということなのでしょうか? 少なくとも、実質的には、米軍基地の機能を持つことは間違いありませんし、KC−130の乗員などの米兵が、鹿屋にも常駐する
と言うことになるわけですか?

KC−130の移駐先については鹿屋基地が優先して検討されることとされており、司令部の所在地や隊員および家族の取り扱い等も含め、最終的な配置のあり方については、運用上および技術上の検討をもとに今後決定されていくこととなります。なお、米軍のC−130やP−3は鹿屋基地に配備されるわけではなく、あくまでもKC−130のために整備される施設を一時的に活用するに過ぎません。

(9) 「岩国基地に配置される米海軍、米海兵隊部隊、もちろん民間航空の活動を支援するために必要な追加的施設、インフラおよび訓練区域の整備」を考えると言うことは、沖合移設完了後、基地の返還を求める山口県などの要望に対しては、一切応
じないと言うことですか?

これも山口県等に対する回答で述べたとおりであります(12ページです)。『2(4)Bの説明』KC−130の岩国飛行場への移駐については、地元自治体から御要望があり、当庁から回答した内容については、当時の経緯や地元の御要望の内容等を踏まえ、引き続き適切に対応してまいりたい。

(湯浅)別のような気がします。(中略)再質問させていただきます。

(10) 中間報告の発表と期を一にして、2008年夏、横須賀の空母は、原子力になるとの計画が、アメリカ政府の決定として、報じられています。ニミッツ級原子力空母は2基の原子炉を持ち、約90万kwの電気出力を持つもので、ちょっとした原発です。仮に、岩国に空母艦載機が来ることになれば、時には、空母が岩国に寄港することも考えられ、被爆地ヒロシマのすぐそばに、原子力空母が停泊することもあり得るわけです。また、南に伊方原発、北に上関原発予定地を見ながら、「動く原発」が、瀬戸内海を航行する日も絵空事でなくなるかもしれません。
南部の岸壁は、長さ360m、水深13mですが、原子力空母が寄港する上で、能力的にみて可能なのでしょうか?

滑走路移設事業に伴って移設をおこなった港湾施設は、現有機能の代替として、補給物資の荷揚げ作業を行うことを目的に整備した施設であり、当該施設に原子力空母の寄港が能力的に可能かどうかについては当庁として承知する立場ではありません。

(11) 自治体の首長を初め、自治会連合会や各種団体が、強い反対の意思を表明し続けていることを承知の上で、このような合意がなされ、中間報告に盛られたことは、この国には、民主主義と自治がないととらえるしかないのでしょうか?

 在日米軍の兵力構成見直しにあたる、類似の日米間の協議については米国との政府間交渉という性格上、事前に地元と十分に調整できなかったことについては、ご 理解得たいと考えております。なお、検討の過程においては日本全体として、負担の 軽減を図るという中で、地元の状況を踏まえて基地周辺に住む住民の生活環境が、現 状よりも著しく悪化することがないよう十分に留意してきたところであります。なお、 御懸念がある場合については誠心誠意御説明し、その解消に努めてまいりたいと考えております。

※ 「事前に地元と十分に調整できなかったことについては、ご理解を得たい」としているだけで、「謝罪の表現」すらなく、ましてや この回答には、「地元の意見によって、計画を変更することもあると一言も書かれていない」。これこそが、民主主義の不在そのものではないか。国が決めたことは、変えないままで押しとうそうとしていると解するが、それでよろしいか?

(12) 1月に発生した沖美町沖での米警備艇による威嚇事件の真相究明は、その後どのような経緯の下で、現在までに、どのような措置がとられてきたのですか?

  米軍岩国基地からは、平成17年1月5日午後、不審船1隻が同基地の提供水域内 に入ったことから、同基地の警備艇が当該不審船を追跡したところ、日本の漁船を発 見し、同警備艇の米兵が漁船の船体番号を記録したが、ご指摘のような威嚇を行った という事実はないと聞いております。本件については平成17年1月13日、広島防 衛施設局が米軍岩国基地から得た情報をもとに、広島県および地元漁業組合等に説明を行ったところです。


防衛庁長官         2006年1月17日
額賀福志郎様

防衛施設庁長官         
北原巌男様

広島防衛施設局長
坂本憲一様 

    
公開質問状U

   「空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移駐」などについて
        
 
昨年11月10日付けで提出した公開質問状にたいして、1月17日口頭での回答をいただきましたが、誠意を感じられる回答でないばかりか、更に問題点が明らかになると言う経緯もあり、再度質問状を提出させていただきます。質問状Uの(1)にありますように、
本状への回答も文書にて回答いただけますようお願いいたします。

 入れるな核艦船!飛ばすな核攻撃機!
    ピースリンク広島・呉・岩国(28団体)

連絡先:岩国市平和研究所            代表  田村順玄
       山口県岩国市牛野谷町3丁目75−19 岩国31-3383

     トマホークの配備を許すな!呉市民の会   世話人 湯浅一郎
       呉市幸町3−1 呉YWCA気付   呉21-2414

     第九条の会ヒロシマ           世話人 藤井純子
       広島市中区大手町 広島YWCA気付 広島255-6580


 アジアに学ぶ会  岩国市職労平和研究所 カソリック正義と平和広島協議会 共育・共生を進める広島連絡会  呉教育労働者研究会  呉YWCA79女たちから  8.5広島集会世話人会 芸南火電阻止連絡協議会  原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会 公害をなくす三原市民連絡会   在日韓国青年同盟広島県本部   更紗の会 市民運動交流センター福山  従軍慰安婦問題を考える会・広島  ストップ・ザ・戦争への道!ひろしま講座 差別は許さん!私たちは行動する会  全国水平運動研究会 電磁波問題を考える会 トマホークの配備を許すな!呉市民の会  東チモール問題を考える会  広島キリスト者平和の会  広島地区連帯労働組合   広島平和と生活を結ぶ会   日本キリスト教団西分区牧師会  ピースサイクル広島ネットワーク 除虫菊の会 広島YWCA  第九条の会ヒロシマ

質問項目
        
(1) この間、私たちは、広島防衛施設局を通じて、様々な申し入れや質問をさせていただいてきたことに深く感謝しております。ただ、市民からの質問に対しては文書による回答はしないとの一貫した姿勢がとられていますが、その理由を納得いくように説明してください。自治体には、文書にて回答するという現状があります。また、口頭の回答をいただく際には、文書を読んでいるわけで、なぜ、その文書をそのまま渡していただけないのか、理解しがたく、その理由を説明してください。これは、行政の透明性、公平性などに関わる重要な問題であると考えますので、よろしくお願いします。

(2) 申し入れなどに際し、報道機関の取材を、冒頭の手渡しなどに制限していますが、防衛施設庁や防衛庁は、全国一律にこのような方式をとっているのでしょうか。他の省庁で、このような方式はとっておらず、なぜこのような方式がまかりとうるのか納得がいきません。むしろ、交渉の場は公開にして、どのようなやりとりがなされているのかを、直接見てもらう方が、行政の内容を広く知ってもらうためにもいいことだと考えますが、いかがでしょうか。

(3) 山口県などへの回答で、最終報告に関わって、「個別の施設・区域に関連する措置について、具体案を最終的に取りまとめ、具体的な実施日程を含めた計画を作成する」としていますが、これは、「中間報告」の中身を変える意志がないことを表明したようなものです。回答の別の部分で、「途中経過については、適時・適切に説明し、理解が得られるよう努力していく」といくら言っても、答えは決まっていると言うのでは、これこそ民主主義の不在です。この自己矛盾をどのように説明されますか。

(4) 当該問題に関する岩国市などへの回答において、「岩国基地は、沖合移設の建設中の工事が完成した後、騒音や危険性が大幅に低減され、」厚木から移駐しても、現在より騒音は低く押さえられるという論理が使われています。これは、裏返せば、仮に沖合移設をしていなければ、現滑走路を使用している状態なので、「そこに厚木から移駐してきた場合には、騒音や事故の危険性が大幅に悪化することになる」ということでしょうか? この論理の延長上には、沖合移設をしていなければ、「騒音や事故の危険性があり、厚木の艦載機部隊を移駐するという計画は浮上しなかった」という帰結が待っていますが、そう考えてよろしいでしょうか? 

(5) 訓練空域の設定、特に「R567」での訓練の急増について。
 現在、厚木の空母艦載機は、群馬県渋川周辺の「R589」エリアで対地攻撃訓練を行っており、近年、その回数が増えていると言われている(リムピースHP参照)が、政府として認識していますか? また、厚木の空母艦載機が、年間を通じてどのエリアで、何回くらい訓練を行っているかについて、政府として把握していることを具体的に示してください。例えば、最近5カ年間についてのデータを示してください。
 空母艦載機が岩国に移駐した場合、これらの訓練が、西日本に移ってくることを意味します。どのくらいが、岩国周辺、西日本で行われることになるのでしょうか?
 すでに岩国の海兵隊機が、「ゴルフ空域」、「リマ空域」などで訓練を行っているのに上乗せする形で、それを上回るかもしれない訓練を空母艦載機が行うことを考えると、新たな訓練空域が、海上、陸上ともに必要になってくることが懸念されます。
岩国で、渋川の「R589」に対応する空域は「R567」であり、厚木の艦載機が移駐した場合は、渋川で行っている対地攻撃訓練は「R567」でおこなうこととなり、頻度が倍増する可能性が高くなります。現在でも、「R567」は低空飛行を含め様々な訓練が行われており、これ以上の訓練の増加は、きわめて重大な問題を生み出します。

(6) 原子力空母の特に原子炉関連は軍事機密を理由に実態が公表されていませんが、下記の点を明らかにしてください。空母の原子炉の熱出力及び電気出力はどのくらいか?、いわゆる温排水はどうするのか?一次冷却水の交換や処理はどのように行うのか? また原子炉の安全性、冷却水の放水などに関して日本の法令は適用できるのか? 適用できない場合、横須賀を始め、日本の港に寄港しているとき、何らかの事故が発生したとき、市民の安全を守るために、日本政府はどのような措置を執ることができるのか?
 仮に、事故が発生したとき、どのような被害が起こるか災害評価した例はあるのでしょうか? 事故には、様々な規模や中身がありますが、例えば、岩国でチェルノブイリ級の原発事故が発生したとき、周辺で、どのくらいの人々が被害を受け、海や陸の生物、農作物汚染や、土壌、海洋などの環境汚染がどのように発生するのか、またはしないのかを想定するべきです。それを知った上で、なおかつ市民が「必要と思うのかどうかを」問うのが、民主主義的手法です。

(7) 恒常的なFCLP(NLPを含む)用訓練施設とは、どのような条件を整えていればいいのか? 滑走路があることは当然として、付随してどのような施設が伴っていることが必要なのか?
 関連して2004年1月に、一端問題になった大黒神島にNLP用滑走路の建設計画が持ち上がったことがあるが、それは、今回の「恒常的な訓練施設を提供するという強い要求に答えるための措置」であったと解釈してよろしいか? 仮にそうだとしても、大黒神島に建設する計画が持ち上がることはないと保証できますか?

昨年11月10日に防衛庁長官、防衛施設長長官などに提出した空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移駐に関する公開質問状の回答が、2ヶ月以上経過した1月17日に広島防衛施設局から出された。昨年末には山口県や岩国市などからの質問の回答があり、大方の回答内容は予想されていたとはいえ、具体性に欠くひどい内容の回答になっている。    

 毎回のことながら不思議にも、防衛施設局からの回答は口頭での回答である。防衛施設庁あるいは関係省庁からの文書をそのまま読み上げるだけであるにもかかわらず、文書で回答しない。その上、回答前の冒頭を除きマスコミも締め出すという対応をしている。まずはそのことを追求し、以後文書での回答を求めるとともに、今回はテープへの録音ということになった。

 今回の米軍の再編が「不安定の弧」に対応する世界的な再編であり、在日米軍がその主要な任務を負っていることからも、日米安保6条の「極東条項」に規定に違反することは明白であるにもかかわらず、「わが国の憲法および安保条約の範囲内で行われる」との回答をするのみである。現在でも、イラクやアフガンといった「極東」から遠く離れた地域で活動している。しかも、その活動内容については「政府として承知しておりません」というまったく許されない回答である。

 岩国基地における「滑走路沖合移設事業」が騒音軽減などを目的に行われたが、「周辺地域の生活環境がより少ない形」で岩国への空母艦載機部隊の移駐を理由付けている。騒音軽減は現状を容認する岩国市民にとっても悲願であると聞いている。まったく市民を馬鹿にしたことである。

 また、空母艦載機の「恒常的な離発着訓練施設」および「訓練空域」については、「実現に努める」あるいは「今後協議する」と明確な回答は避けたが、「中間報告」が単に空母艦載機の岩国移転だけにとどまらないことが伺える。

今回、私たちに回答する前に、自治体等に回答をすでにしており、それに沿った内容であることは容易に想像でき、回答を受けて再質問状を更に提出し、2ヶ月余り経た4月5日には、その回答が示された。再質問で冒頭に取り上げた文書による回答はあくまでも自治体等を除き、市民団体・個人には口頭による回答にこだわり続けた。2ヶ月待たされ、それなりに関係機関と調整したうえで回答文書を作成し、それを口頭で説明することに対してはまったく理解しがたい。また、マスコミによる取材については、あらかじめ取材申し込みがあれば、回答を聞くあるいは質問をするということについては一定の前進を見た。

いずれにせよ、納得のいく回答は全くなく、引き続き近いうちに出るであろう「最終報告」向け、要請を続けていかなければならない。