25.興禅寺の首無し地蔵と無縁墓 (中区西平塚町10−11)
   
  「おこりじぞう」という絵本に、「いまも、広島の町のあるよこちょうに、おこりじぞうはおこった顔で、じっとたっています。」とあるためか、筆者はよく「おこりじぞうはどこにいるの?」という質問を受ける。残念ながら、筆者はかなり「その目」で市内を見て回っているが、「被爆したお地蔵さん」としては、原爆ドーム向かいの西蓮寺の被爆地蔵尊と、ここや、あと心当たりがある数ヶ所を三ページをさいて特に紹介しておきます。
   
  爆心から千五百メートルの寺で、本堂の左手(場所が移動されました)に20余体の首無し地蔵がずらりと並んでいます。ほとんどが、原爆で首を吹き飛ばされたものといいます。本堂など木造の建物は、全焼し、戦後建て替えられていますが、 さらに中の墓地に入って見ると、新しい墓の中に原爆で傷ついた墓石も混じる墓地が、その周囲はぐるっと無縁墓で取り囲まれています。千基近くもあるといいます。一家全滅の家が如何に多いかを表しています。三滝の無縁墓は有名ですが、市内中心部でも多くの寺に無縁墓があります。無縁墓の多さではここが1番ではないかと思われます。墓以外にも鬼瓦など、被爆の傷痕が残る遺跡が数多くあります。しかし、この辺りは、元赤線地域で、今でも大人でもゆっくり歩くには気が引ける場所柄。子どもさんにはちょっと向かないところです。
   
 

ちなみに、市内のお寺の「無縁墓」にも、地蔵さんが一緒に葬られていることがあります。1992年から何度も、全焼区域の寺、墓、神社のほとんどをカメラ片手に実際に歩いていますので、大きな間違いは無いと思います。