32.祈りの像  (中区中島町1・平和公園内中央)
   
 

毎年、日には原爆慰霊碑前で平和記念式典が行われています。首相や多くの海外からの来賓を迎えて、広島市長が高らかに「平和宣言」を読み上げます。その平和宣言には、平岡市長時代のアジア大会を前にした1993年頃から、アジアの人達に与えた先の戦争への「反省」「謝罪」の文言が盛り込まれるようになりました。秋葉市長の平和宣言は、さらに「被爆者の果たしてきた足跡」を評価してきましたが、2002年に至っては、「米政府は世界の運命を決定する権利を与えられている訳ではない」とアメリカの核政策を痛烈に批判するという鋭く、かつ崇高なものとなって全世界に発信されています。

しかし、原爆慰霊碑の正面に向って左には「日の丸」が掲げられていることは、最近皆さん気が付かれはじめましたが、一見無心に祈りを捧げている素朴に見えるこの「祈りの像」の側面に刻まれた「慰霊対象」という擦り減った文字を拾っていくと、「慰霊対象」に、被爆者や動員学徒などと共に、戦犯処刑者、自決者、殉死者が祭られていることは余り知られていません。1960年8月15日、終戦15周年を記念して建てられたといいます。

 平和公園に戦犯がひそかに祀られ、しかも原爆慰霊碑を日の丸と戦争犯罪人とが両方から挟みこんでいるとはどうしたことでしょう。

写真は2013年5月17日撮影。